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~連絡事項~ 特になし。 蕎麦屋の挑戦 プラットフォーム ゲーム名 挑戦結果 スーファミ ファイアーエムブレム聖戦の系譜 失敗 スーファミ タクティクスオウガ 失敗 スーファミ 星のカービィスーパーデラックス 失敗 ネオジオ ニンジャコンバット 失敗 ネオジオ サムライスピリッツ斬紅朗無双剣 失敗 PCエンジン 妖怪道中記 達成 ファミコン パンチアウト 失敗 スーファミ 不思議のダンジョン2 風来のシレン 失敗 メガドライブ モンスターワールドⅣ 達成 ニンテンドー64 カスタムロボV2 達成 ニンテンドー64 星のカービィ64 達成 ファミコン 忍者龍剣伝 失敗 ファミコン ロックマン3 失敗 PCエンジン 源平討魔伝 巻ノ弐 達成 マスターシステム ファンタジーゾーン 達成 メガドライブ スーパー忍 失敗 メガドライブ 重装騎兵レイノス 達成 アーケード ブラックドラゴン 達成 プレイステーション ECHO NIGHT#2 眠りの支配者 失敗 プレイステーション パラサイト・イヴ2 失敗 プレイステーション ヴァリスII 達成 スーファミ かまいたちの夜 達成 ネオジオ 月華の剣士 失敗 ニンテンドー64 マリオカート 達成 スーファミ プリンスオブペルシャ 失敗 ニンテンドー64 F-ZERO X 達成 スーファミ 超魔界村 失敗 ファミコン 光神話 パルテナの鏡 失敗 ファミコン 探偵神宮寺三郎 新宿中央公園殺人事件 達成 プレイステーション チョコボの不思議なダンジョン2 達成 プレイステーション メタルギアソリッド 達成 スーファミ すってはっくん 失敗 スーファミ アクトレイザー 達成 プレイステーション サイレントボマー 達成 スーファミ ロックマンX(サブタンク縛り) 達成 スーファミ スーパー信長の野望・全国版 達成 アーケード マーベルランド(難易度:ノーマル) 失敗 プレイステーション サルゲッチュ 達成
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主催(かみ)の歌が鳴り止んでも復讐者達の戦いは終わらない。 ベルベット・クラウは冨岡義勇を殺すために戦っている。 冨岡義勇はベルベット・クラウを斬るために戦っている。 己が生き残るために。力なき者たちを護るために。 神殺しが失敗に終わろうとも、二人が争いを止める理由にはならない。 ガキン、という金属音が鳴り響き、二人の身体がそれぞれ別方向へと弾かれるのも何度目だろう。 互いに身体は傷だらけになり、息を荒げ、今にも膝を着きそうになるのを気力で保っている状態だ。 ベルベットは純粋に己を上回る義勇の強さに。 義勇はベルベットの執念に加え、チョコラータ達との戦いで負わされた疲労に。 次が最後の殺り取りになる。 二人は言葉にせずともそれを理解する。 先手を切ったのは―――ベルベット。 その巨大な業爪を振り下ろし、義勇の命を狙う。 義勇はそれを寸前まで見定め、ギリギリで回避。 避けられた爪は義勇の背後にあった木に食い込み、ベルベットがそれを引き抜くまでの『間』を作る。 その隙を突こうとする義勇へと炎の輪が放たれるも、義勇はそれを剣で受け流し、距離を取る。 「ちいっ!」 (確実に決める) 引き抜く動作の『間』に、十分な距離を取った。 ベルベットは舌打ちしながらも、相手の技の発動に近づいての攻撃は間に合わないと判断。 先の炎の輪を数発放つ。 (――全集中) それを迎え撃つは水の呼吸最大の威力の技。 ――水の呼吸、拾ノ型 生生流転 (やっぱりね) 水龍を幻視させるさせるほどの勢いの剣技にもベルベットは焦ることは無い。 やはり同じなのだ。 同じシチュエーションを作ってやれば、義勇も錆兎もやることは変わらないということは。 炎の輪を切り裂き回転ごとに威力を増していこうが、それがベルベットを揺らがせることは無い。 最大の威力をもって放たれる水龍にも迷わず業爪を振り下ろす。 衝突と同時に、パリンと音が鳴る。 炎の輪を切り裂き続け、脆くなった日輪刀を、業爪が折った音だ。 最大威力のはずの技を折られたことに驚愕し目を見開く義勇の腹部にベルベットの右の籠手が繰り出される。 「―――空破」 ―――水の呼吸 拾壱の型 瞬間、ゾクリとベルベットの背筋に怖気が走る。 それは死の予感。あの忌まわしき紅い月夜にも突きつけられた、生物の有する根源たる恐怖。 絶好のチャンスだったはずの右籠手を無理やりひっこめ、咄嗟に地を蹴り距離を取ろうとする。 ベルベットの直感は正しい。 もしもこれが義勇と同等の実力を有する水の呼吸の使い手であれば、やはりベルベットはこのまま勝利を収めていただろう。 しかし、相手が義勇だからこそこのままでは死ぬと判断した彼女はこれ以上なく正しかった。 それでもほんの僅かに遅かった。 敗因は散ったことで時間を進められなかった錆兎と、不器用で自罰的ながらもそれでも時間を鍛錬に費やしてきた義勇の差。 放たれるは、彼の生み出した、彼しか扱えぬ独自の技。 型と称しつつ、その型すら捉えられぬ最大の防御。 ―――凪。 用途としては防御用の技だが、極端に突き詰めれば剣を振るっているに過ぎない。 故に、刀の届く範囲のもの全てを切り刻む。当然ながら、その範囲内に敵がいれば切り刻まれる他ない。 ―――ピッ 数多の線が業魔の腕に、彼女の全身に入る。 数舜遅れて、業魔の腕がざんばらに切り刻まれ、身体からは鮮血をまき散らし、そのままベルベットは仰向けに倒れた。 「か...は...」 ベルベットが踏みとどまったこと。義勇の刀が既に半ばで折れていたこと。 それらの幸運が作用し、ベルベットは一命をとりとめた。 しかし、このままでは確実に殺される。 必死に力を振り絞り、首を持ち上げ義勇を見るも―――彼もまた崩れ落ちた。 折れた刀を握りしめたまま、前のめりに倒れ伏してしまった。 思いがけぬ光景にベルベットは呆気にとられる。 最後の型で気力を使い果たしてしまったのだろうか。 なんにせよ、これは思いがけぬチャンスだ。 確実にトドメを刺すために起き上がろうとするが―――すぐに彼女の意識も闇に落ちた。 「ま、喧嘩両成敗ってところね」 そんな二人を少し離れたところから眺めながら、ポツリと呟いたのは夾竹桃。 彼女が手にしていたのは睡眠ガスの詰まった使い捨ての缶詰だ。 夾竹桃が辿り着いた時には、二人の戦いは既に苛烈を極めていた。 このままでは口で言ったところでどうしようもなく、どちらかの死でしか終わらないだろう。 本来ならばベルベットに手を貸し、共に義勇を始末するところだが、まだ隼人からゲッターの情報について聞き出していない以上、彼と敵対する訳にはいかない。 そう判断した彼女は、周囲が火勢で己の気配を消されているのをいいことに、睡眠ガスを漂わせることで仲裁を図ったのだ。 本来ならば運任せになるところだが、毒の達人である彼女にとって催眠ガスという初歩的な『毒』を正確に効果的に撒くなど容易いことだった。 (それにしても、本当に彼女の言う通りだったわね) ベルベット達のもとに辿り着く前に遭遇したアリアと、その連れの岩永琴子。 彼女に大方の説明をした後、ベルベットがどこにいるかを尋ね、争っている男女がいるのを見かけたというアリアの指示に従ったのが経緯だ。 一応、別れる際に主催の追手が来るかもしれないことを伝えると、琴子は言った。 『参加者同士で小競り合いしているところには主催は来ないと思いますよ』と。 その通りだった。 念のために警戒しながら進んできたが、先の風の罠のようなものはなく、骸骨のような追手の姿もなく。 拍子抜けするほどにあっさりと夾竹桃はここまで辿り着いてしまったのだ。 (あれは適当なことを言っているようには思えなかった。彼女には彼女なりのなんらかの根拠があるように見えた) 琴子は戦闘タイプではない夾竹桃からしても弱者の部類に入るようにしか見えなかった。 その彼女が果たして何を掴んでいるというのか。 主催達のもとへ向かった彼女たちはなにを見せてくれるというのか。 「お手並み拝見、と言ったところね」 ☆ 鋼人七瀬の時とは違い時間は限られている。 不特定多数の匿名意見を募ることもできない。 此方に出来るのは追及という名の一方的な一人相撲だけだ。 導き出した結論というカードは全て虚構。しかし、これらを真実に近づけることでこの狂宴解決の糸口を掴めるかもしれない。 さあ、そんな与えられた条件の中で、私は、知恵の神はどうやって切り込むか―――。 カツン。 ☆ 『違和感を覚えたのは他参加者との接触からでした』 琴子の言葉はアリアの本来のバーチャドールの機能を使い、マイクを通し彼女の声帯を借りてμ達へ向けて出している。 マイクを通じた琴子の声がアリアを通してμへと語られる。 まるでドキュメンタリー番組のナレーションのように、焦らず、しっかりと。 ―――ある者は言った。自分は【Dゲーム】という殺し合いに巻き込まれている最中だと。ある者は言った。【武偵】という国際規模で活躍している組織の人間だと。 ある者は見せた。【スタンド能力】という精神を具現化させる能力を有していると。ある者は見せた。【ゴーレム】という異形の精を使役できると。 しかしその誰もがそれを知ることなく、しかし誰もがそれらを疑うことが出来なかった。当然だ。なんせ殺し合いの中で嘘を吐くとしても、こんな意味のない嘘を皆が吐くなんてある筈がないから。嘘を吐くなら共通して知っていることを話さなければ意味がないから しかし記憶違いやそれに類する例もなく、特に武偵は訓練学校もありテレビでも政治家並に報道されるため、知らない者がいるはずがない。にも関わらずそれを伝えた者は誰一人として知らなかった。 ではこの矛盾はなんなのか。そこで導き出された一つの答えが 【この殺し合いの参加者は平行世界を軸に集められている】 『己の知る世界の常識でも交わることなく進み続ける世界の常識があるとは限らない。【武偵】が基盤となる世界では【Dゲーム】などは存在せず、その逆も然り。 つまり違うルールの敷かれた世界の住人たちを集めた結果が先の認識のズレである―――これが一つの解です』 言葉を一旦切り、相手方の様子を伺う。 反応は―――誰もしない。 「駄目だな、あいつらがなにか言ってくれねえと俺の嘘発見器は効果が出ない」 「...そうですか」 アリアにも小型のマイクを持たせているため、μ達の声もこちらまで届かせることが出来る。 そこでリュージが双眼鏡越しに彼女たちを見て嘘発見器で嘘を吐いているかどうかを判断し情報を得ようというのが琴子たちの作戦だ。 言葉が無ければ嘘も真もないため、こうして己の見出した考えを伝えているのだが 「まあこれも想定内です。最初からこれで何かを貰おうなんて期待はしていません」 やはりこの一枚目のカードでは弱い。当然と言えば当然だ。 この解は時間が経過すればハッキリとした言葉に出来なくとも、感覚であれば多くの参加者が自力で辿り着けるもの。 もちろん、主催側もその程度の事態は織り込み済みであり、判明したとしても殺し合いを続ける上ではなんら問題ない。 ならばもう一枚のカードを切るとしよう。そう判断し、琴子は見解を続ける。 ―――しかしこの解を成立させる為には幾つかの高い壁を越えねばならない。平行世界への干渉というのは言葉にするほど容易い事象ではない。 タイムパラドックスによる時間軸の消滅、干渉を成功させるのと引き換えに命を落とすくだん、干渉する際に必要なエネルギー...考えられる例はいくらでもある。 平行世界から人ひとり、それを見せしめの二人含めた77名も拉致しようというのだから、当然、その代償はすさまじいものになるだろう。 μ本人には平行世界を股にかけるような力が無いとすればテミスが用意したと考えるべきだが、こんなものテミス一人で達成できるとは到底思えない。ならば、協力者―――それも強大な力を持った者が単数、あるいは複数いると考えるべきだろう その者たちに代償を賄うだけの支援をしてもらえば、この平行世界を巻き込んだ殺し合いを開くことも不可能ではない。なら、そもそもこの殺し合いを運営するテミスの狙いはなにか? 【平行世界を股に掛けたビジネスを開催する】 『セレモニーの司会進行の様子を見た時、私は「随分板についているな」と思いました。淀みのない解説、主催側の奴隷の立場にある参加者たちにもわかるような丁寧な言葉遣い。 そして、如何な場合においても絶やさぬ笑顔。これらの手慣れた振舞から、私は彼女をオークションやギャンブルの支配人の立場にある者だと推測しました』 では彼女がなぜ複数の黒幕の手を借りてまで殺し合いを開いたのか―――あくまでもビジネスの一環だろう ビジネスとはなにもそれ一本だけに終始する訳ではない。食品を取り扱うところから始まった企業がスポーツクラブを経営することや、家電を扱っていた企業が古本を扱うようになることも珍しくはない光景だ たまたま私たちが巻き込まれたのが殺し合いという場であっただけで、本来は多岐に渡る分野があるのかもしれない。 例えば複数世界の人間が集まり殺し合いではなくその様を眺めるだけの催しだったり、あるいは憧れの世界の〇〇に会える!という握手会にも似た催しをしたり。もしもこれが叶うならば数多の世界から資金を巻き上げられる、と狙いをつけてもおかしくはない。 (俺としちゃこの説で合っててほしいもんなんだがな...) 琴子の第二の解を聞くリュージは内心で思うが、しかしそれはないだろうと思いなおす。 なぜならば、この解を成り立たせようにもいともたやすく瓦解してしまうからだ。 ―――だがこの解には無視できぬ問題点がある。それは【平行世界の資金を一律に調達することは不可能である】ということだ 『同一世界においても異国共通で使えるお金はありません。日本では流通している【円】にしても他国で使う場合は【ユーロ】や【ドル】に変える必要があります。 物品単価にしてもそう。一つのパンにしてもそれがどのくらいの価値になるかは国によって異なります』 その規模を平行世界に置き換えればどうだろうか?A・B・Cの世界において、Aの世界で流通している貨幣でもB・Cの世界では使用できなければ、それだはただのA世界における貨幣でしかない。 三つの世界で共通しているとしても、貨幣の価値が全く同じでなければならず、且つ札の印番号・媒体までもに綻びが一つでもあれば、結局は一つの世界でビジネスをしているのと何ら変わりない。 『それをテミスが理解していない筈がない―――よって、この解答2は成り立ちません。同時に、黒幕から力を借りる理由も黒幕が支援する理由も消える為、平行世界から参加者を集めたという解にも疑問が湧きますね』 「オッ、オメ~、なんで、自分が言ったことを、自分で否定してんだよぉ~!?ワケわからねえぞおまえェ!?」 一方的に与えらえる琴子の考察に痺れを切らしたセッコが堪らず切り出すと、琴子はそれを待っていたかのように薄い微笑みを浮かべた。 『もちろん必要なことだから話したのです。...平行世界から集められたとしか思えない参加者たち。しかし主催側から代償を払ってまで異世界間の殺し合いを招く必要性を感じない。 ならば、平行世界から参加者を直接集めるような真似はしていないというのが妥当でしょう』 「だっ、だから、おめ~の言ってることおかしいだろぉ!?えっと、こういうのなんだっけ...ジョンレノンじゃなくて...無重力...えっと、えっと...」 『矛盾ですか?』 「~~~~~ッ、知ってんだよォォォォッ!国語の教師か、おっ、おっオメ~はよォォォ」 嘘 嘘 嘘 嘘 嘘 セッコの周囲に浮かぶ『嘘』の文字に、リュージはニヤリと口角を釣り上げる。 「よし。双眼鏡越しでもちゃんと嘘発見器は使えるぜ」 「我慢の利かない男がいて助かりましたね。彼らに沈黙の一手をうたれては元も子もなかったので」 カツン。 空気を切り替えるために杖で地面を叩き、再び彼女の考えを口にする。 くだんという、命と引き換えに近い未来を確定するあやかしがいる。彼らが命を落とすのは未来確定という平行世界への干渉を行ったために代償を支払うからだ。 けれど彼らにも死ななくて済む方法がある。それは―――未来を確定しないこと もしも未来という平行世界を観測しただけで死ぬのならば、くだんは未来を確定することなく死に至らなければならない。しかし彼らは数ある中で災いの未来を確定することで死に至る。 未来を見るだけならば死ななくてもいいとも言いかえられるだろう。 『ではこれを数多の世界の参加者に当てはめてみましょう。平行世界の観測者は無難にテミスとしましょうか』 ―――テミスは異世界から岩永琴子を連れてこようと思った。しかし直接彼女を引っ張ってこようとすれば代償は逃れられない。ならばどうしようか―――そうだ、岩永琴子をこちらの世界で作ればいい ―――彼女の動向を把握して、情報だけを持ち帰ろう。ただこの娘の死にざまとかはいらないから鋼人七瀬の事件を解決した後まででいいや。その情報をそのままコピーする。これで岩永琴子をこちらの世界に落とし込むことが出来た。 『これを他の参加者の分も同様に行えば、平行世界間の参加者同士の接触に必要な素材は揃います。しかし素材だけではどうにもなりません。そこで必要なのがμ、あなたです』 μを名指しすると共に琴子の喉がゴクリと鳴った。 柄にもなく緊張―――いや、恐れていると言った方が正しいと彼女は自覚する。 それほどまでにこの説は確定してほしくないものなのだ。 けれど。 それを否定するにはあまりにも条件を満たしすぎた。 この世界がメビウスに限りなく近い環境にあること。 リュージが楽士のカタルシスエフェクトとほとんど同じ道具を持っていたこと。 まるで当然だと言わんばかりに異国の参加者が母国語でなんら問題なく会話していたこと。 滝壺理后と少年ドールがただ見せしめとして殺され、死者蘇生を唄いながらその実演が無かったこと。 『stork』や『リュージ』のように本名ではなく、参加者本人が親しんでいる名前が名簿に記載されていること。 μが既に願望という情報から人間の肉体変化や記憶操作を成功させていること。 不死身である九朗を殺し合いに巻き込み、不死身の生物すら殺す首輪が存在していること。 テミスが『程度の能力』と思しき力を行使しているかもしれないのも、含まれているかもしれない。 ―――そして、岩永琴子が巨乳になることを願いながらその身体は本来のままであること。 だから岩永琴子は解等を提示する。 平行世界間の殺し合いという世界の秩序の崩壊を食い止めるために。 公平公正に。 虚構で真実を象るのではなく、虚構から真実を掴み取る為に。 己にすら容赦なく、裁定の木づちを振り下ろす。 『つまりこの殺し合いの参加者77名は』 【μにより平行世界の人間の情報をインストールされた同一世界の人間である】 ポオ―――――ッ 琴子の裁定をかき消すかのように列車の汽笛が鳴り、μ・骸骨・リック・セッコの四人の身体が正方形の透明な箱に包まれる。 「転送だと!?」 その光景に真っ先に反応したのはリュージだった。 見覚えがあったからだ。ダーウィンズゲームの最中、嫌になるほどなんどでも。 それでも双眼鏡の先のμたち四人から目を離さずにいたが―――嘘も真も浮かばない。 (クソッ、転送中でも効果は発揮するんだが、あいつらがなにかしら話してくれねえと意味がねえんだよ。ほんと肝心なところで役に立たねえクソ異能(シギル)だぜ!) 「μ!!」 琴子からの通信を切ったアリアが、消えていくμに再び呼びかける。 「教えてよμ!!こんなことをして...ううん、これからみんなになにが起こるの!?」 アリアの必死の呼びかけに、μはほほ笑む。 嘲ることもなく、罵るのでもなく。 ただただ慈しむように。悟りきった仏のように。 「すばらしいことだよ」 真 真 真 消えていく寸前のその一言を、『嘘発見器』は確かに見逃さなかった。 ☆ 「行っちまったな...クソッ、何にも掴めなかったぜ」 「まあこんなところでしょう。最初からここで全てを解決できるとは思っていませんでしたし」 「にしてもツイてねえな...まさかあんなタイミング悪く汽笛が鳴るなんてよ」 「...そうですね」 リュージの言葉に同意を示しつつも琴子は考える。 ―――本当にあれは偶然だったのか? 確かに列車の整備終了時間は定まっていなかった。 しかし、あれは自分の裁定をかき消すために鳴らしたのではないか? μたち四人にも知られてはならなかった為に、無理やりにでも止めたのではないか? いや、そう思わせてあの説が正しいといい気にさせておいて自分たちを嘲笑う為かもしれないが。 (...今は置いておきましょう) テミスの人となりまでは知らない現状、これ以上は虚構にすらならない妄想でしかなくなる。 それに捕らわれて脳細胞を消費するよりも優先すべきことがある。 「動くな」 カチリ、という音と共になされる警告に、二人は動きを止める。 「そのまま答えてもらおうか。お前たちは何者だ。参加者か?それとも奴らの仲間か」 「参加者だ。証拠に首輪も付いてるだろ?」 「先ほど、夾竹桃と同盟を組んだと言えば信用してくれますか?」 「...そのままガキの方だけこっちを向け」 「ガキとはなんですか!私はれっきとした大学生ですが!?ちゃんと破瓜の痛みも経験している淑女を捕まえて失礼でしょう!」 「余計なことはしゃべるな」 カチリ、と再び回されるシリンダーの音に、琴子はしぶしぶと振り返る。 そこには、気絶するクオンを肩に担ぎながら銃を構える神隼人とその隣で警戒心を露わにするビルドがいた。 その怪我や擦れの様からして、彼らもまた主催に抗った者たちだと判断して琴子はコホン、と一つ咳ばらいをしてみせる。 「初めまして。私は岩永琴子と申します。隣にいる男性はリュージさん。貴方たちの名前をお伺いしても?」 ここで狂宴を終結に導くことはできなかった。 しかし得るものが、得られるものが何もないわけではない。 起きた事象から拾えるものがあればなんでも利用する。 それが岩永琴子の戦い方である。 その為に、目の前の男たちの信頼を得る為に琴子は恭しく、礼儀正しくぺこりと頭を下げた。 前話 次話 It s My Life ー永遠の銀(RickReMix)ー 投下順 It s My Life(後編) 前話 キャラクター 次話 It s My Life ー永遠の銀(RickReMix)ー ベルベット・クラウ It s My Life(後編) It s My Life ー永遠の銀(RickReMix)ー 麦野沈利 It s My Life(後編) It s My Life ー永遠の銀(RickReMix)ー 夾竹桃 It s My Life(後編) It s My Life ー永遠の銀(RickReMix)ー 岩永琴子 It s My Life(後編) It s My Life ー永遠の銀(RickReMix)ー リュージ It s My Life(後編) It s My Life ー永遠の銀(RickReMix)ー 神隼人 It s My Life(後編) It s My Life ー永遠の銀(RickReMix)ー ビルド It s My Life(後編) It s My Life ー永遠の銀(RickReMix)ー クオン It s My Life(後編) It s My Life ー永遠の銀(RickReMix)ー 富岡義勇 It s My Life(後編)
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登録日:2010/06/04(金) 11 42 14 更新日:2023/12/29 Fri 10 55 05NEW! 所要時間:約 5 分で読めます ▽タグ一覧 FLAT うたてめぐり エロゲー キラークイーン ゲーム 遊女 うたてめぐり 2010年5月28日に発売されたFLATの第2作目にして、 ジャンル名『恋とバトルの学園アドベンチャー』。 プロット自体は前作シークレットゲームより先に出来ていたらしい。 シークレットゲームは同人作品のリメイクなので、本作がFLATとしては初の完全新作になる。 前作同様に選択肢は無く一本道のノベルゲー。 なお、公式サイトはネタバレが結構豊富にされているので注意。 舞台は主に学校だが、幼稚部~大学院までを兼ね備えるただっ広い総合学園で敷地面積は非常に広い。 文化は現代日本とほぼ同等と考えてよく銃器なども登場する一方、一般人は知らない事だが異世界やら異能力なども存在する。 何気に声優陣が豪華 キャラクター 日高皐月 主人公。両親とも仕事で留守が多いことを除けばとても素直な普通の少年だが、意思はかなり強い。 まあ心が折れたりもするが、これは彼の心が弱いというよりは状況が酷かったと言うべきだろう。 友人が困っていたら放っておけない性格。 織姫恋花 生まれてすぐ父を亡くし、母子家庭で育った幼馴染。多少言及される程度だが、恐らくドジっ子。 皐月の側からすると妹の様な存在であまり女性として見てはいないが、身近にして大切な友人である。 神無城琴子 風紀委員と弓道部に所属しているちっこい少女。融通はきかないが礼儀正しくてとても正義感が強い、かなりのお人好し。 古くから続く厳格な家で育ったが為に努力家で忙しい日々を送っている。 九条由衣音 病弱の豪邸に暮らすお嬢様で学校を休みがち。一見お淑やかに見えるがそんなことはなく意外と強気で誰にでも気さくでフレンドリー。 彼女とは刺激的な出会いの後、すぐに共感して仲良くなった。初恋の人でもある。 リベカ・アルベルト 海外からの転校生だが日本語は堪能。明るい性格で即座にクラスに溶け込む。 スタイルが非常に良く大人びているのだが、ちょっと子供っぽくて好奇心も強い。 藤原巴 由衣音につかえている感情を表に出さない家政婦。 由衣音の側について回っているわけではなく、基本的に九条家に居る。 日野原焔 風紀委員にして琴子の親友。琴子の部活にもよく付き合っている、子供っぽい明るい少女。 琴子への好意がやや過剰で琴子に近づき過ぎる者には容赦しない時があるものの、それさえなければ皐月への態度も良好。 鏑木椎 演劇部に所属しているクールで男前な少女。意外にノリも良い。 男嫌いというわけではないが、一馬にしつこく絡まれているせいで彼に関しては過敏になっている。 栃ノ木一馬 ナンパ過ぎるところを除けば悪い奴ではなくて行動力もあるのだが…作中においてはほぼ空気な悪友。 織姫夏子 恋花の母でまともな食生活を送っていなかった皐月は彼女の母によく世話になっている。 その縁から皐月は朝が非常に弱い恋花をよく起こしにいったり、過去に恋花をいじめから庇ったりもしていた(今はいじめられていないのでそういうことはない)。 幸徳井聖 妙に軽くてフレンドリーな残念保険医(男)。セクハラ発言もたまにある。 その態度から皐月はつい辛辣なことを言ってしまいがちだが、それもあまり気にしてはいない…というよりも特に皐月には慣れ親し苦接している印象を受ける。 神無城清十郎 琴子の兄。自他共に厳しく、他者にも自分に近い実力を求める傾向にある。琴子と違って正義感はとりたててないが、意志の強さは登場キャラの中でも屈指。 更に常人から見れば武芸の達人と思われる琴子も、彼にかかれば児戯当然の程の実力者である。 野弧 清十郎に従う、感情を見せない謎の巫女。 以下、ネタバレも含むので注意 ストーリー概要 Chapter1 DUEL SOUL RESONANCE 幼馴染の恋花と転校生リベカの争いに焦点を当てた、プレイヤーからすると始まりの物語。 二人を通して異世界の存在やその確執が早くも明らかになるが、そんな事情も二人の過去を知っても皐月は諦めはしない。 Chapter2 魔剣の巫女と黒の遣い魔 同じ風紀委員である琴子を放っておけず日々を過ごしていたある日、異世界の争いに巻き込まれる。 皐月は過去からも現在からも雁字搦めとなっている琴子を励ましつつ、彼女の思い通りに決着をつけさせるため奔走する。 Chapter3 RIGHT ANSWER CHRONILE 由衣音の余りに重たい使命と運命に、そして殺人すら厭わぬ重責を知ってしまう。 そんな彼女のために…そしてなるべく誰もが傷つかない為の方法を探すことを決意する。 Fragment ANOTHER SIDE CHRONICLE 『鍵姫』なる存在とそれにまつわる過去の話が展開される。 若き旅人の『爽』が鬼を退治するために当時の権力者『神無城』を訪ね、その後新しく出来た仲間と共に鬼退治に努めたことが事の始まりだった…。 各Chapter間は繋がっておらず、パラレルワールドである。 Chapter3とFragmentの間でのみ完全な前後の繋がりが有る。 ただし、Fragment自体は全てのChapter共通の過去である。 そのためほとんど関係が無いかと思いきや、聖のみはこの各パラレルワールドを認識している(設定的には他にも同様の存在が居る)。 彼は複数の勢力が動いている本作において直接の手出しはしない立場だが、 過去の出来事から皐月を特に気をかけていて、Chapter2ではあることをきっかけに皐月に大きな助言をしている。 その他 ジャンル詐欺とよく言われる作品であり、大抵『伝奇もの』として括られている。 実は『恋とバトルの学園アドベンチャー』のジャンル名通り、恋もあるし、バトル描写が多いし舞台の大半は学園なので全く間違っていない。 しかしながら上記のジャンル要素より伝奇要素や過去編の印象が強いのは否めないため、ややしっくりこないことも事実。 男も含めて魅力的なキャラが多くて非常に良いことなのだが、その分リベカや巴が攻略できないことを嘆くプレイヤーが多数。 ちなみに本記事のキャラクター紹介はネタバレの大半を避けているので、隠されている設定が結構ある。 物語の評価 物語自体は並~良作扱いされていることが多いと思われる…ここらは好み次第だろう。 少なくともクソゲー扱いされるような作品ではない。 ただし、最終EDは賛否両論。 エロは少ないし薄い FLATなので期待しているユーザーは少ないと思うが、そういうのを望んでいたら絶対に肩透かしを喰らうだろう。 歌の評価が高い ただ、OPの歌はゲームクリア後に聴くと完全なネタバレ 原画は上手いとは言えず、気になるものが多い。 特に刃物の持ち方について怪しげなものが目白押し。 全体的には明らかに見るに堪えない・ネタにしかならないレベルなどというわけではない…とは思う。 商業レベルというより同人レベルと言ってしまった方がしっくりくることは確かだが。 追加、修正よろですー △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 所々いい部分もない訳じゃないんだけど、練り込み不足の各種設定に手垢のついたオリジナリティのなさ、過去編の時代考証ガン無視やテキストでアサルトライフルって言ってるのに見た目がP-90(厳密には短機関銃)だったり、サイレンサーは銃声を完全には消しきれないとかミリタリー関連の間違った知識 -- 名無しさん (2021-06-16 00 06 30) 名前 コメント
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雨宮蓮 NO. タイトル 場所 関連参加者 019 これでいい Fー1 なし 029 さよならメモリーズ Eー2 なし 035 Get ready, dig your anger up! Dー3 鷺ノ宮伊澄、遊佐恵美、漆原半蔵、小林さん、花沢輝気 坂本竜司 NO. タイトル 場所 関連参加者 000 オープニング ??? All 021 運命は、英語で言うとデスティニー Bー4 西沢歩 031 温泉は殺し合いでは戦場。油断すると死ぬ Bー5 マリア、西沢歩、真奥貞夫 041 救い主にはなれやしない C-5 西沢歩 高巻杏 NO. タイトル 場所 関連参加者 024 牝豹と竜 Cー6 上井エルマ 030 魔法少女の時間 Eー6 刈り取るもの、上井エルマ、美樹さやか、赤羽業 040 Rhapsody in Blue Eー6 刈り取るもの、小林トール、上井エルマ、美樹さやか、赤羽業 モルガナ NO. タイトル 場所 関連参加者 011 なんだかんだで自分ちの猫じゃなくてもとにかく可愛い Aー1 三千院ナギ 026 理想と現実はちがうけどできるだけ理想に近付きたい B-2 三千院ナギ、初柴ヒスイ 039 バトロワ「青春!火吹き娘!」 Bー3、B-4 三千院ナギ、鋼人七瀬 新島真 NO. タイトル 場所 関連参加者 008 仮面の裏で Eー6 刈り取るもの、影山律 023 僕たちの居場所 Eー5 綾崎ハヤテ、岩永琴子 042 岩永琴子の華麗なる推理 D-5、E-5 綾崎ハヤテ、岩永琴子 050 共に沈めよカルネアデス D-3、D-4 綾崎ハヤテ、桂ヒナギク、岩永琴子 明智吾郎 NO. タイトル 場所 関連参加者 013 復讐という正義の名のもとに Eー3 遊佐恵美 027 反転のデスパレート Eー3 鷺ノ宮伊澄、遊佐恵美、小林さん 044 考える葦 Eー3 なし 刈り取るもの NO. タイトル 場所 関連参加者 008 仮面の裏で Eー6 新島真、影山律 030 魔法少女の時間 Eー6 高巻杏、上井エルマ、美樹さやか、赤羽業 040 Rhapsody in Blue Eー6 高巻杏、小林トール、上井エルマ、美樹さやか、赤羽業 048 生生流転――ふたりぼっちのラグナロク E-6 上井エルマ
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北大路魯山人(1883-1959) 日本・京都出身の陶芸家。本名は北大路房次郎(ふさじろう)。 料理研究のかたわら食器制作をはじめ、多彩で斬新な陶器を作成した。 画家・書道家・漆芸家・料理家・美食家など、様々な顔を持つことでも有名。 琴子は彼の本から、魯山人風クリスマスケーキのレシピを作りだす。 しかしレシピには怪しい食材が入っており、樹はそれらを除外してケーキを作った。 琴子がどの著作からレシピを作りだしたかは不明。
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☆ 主催が消え、禁止エリアの制約が外れた渋谷駅にて9名の参加者が集っている。 そのうちの四名、クオン、麦野沈利、冨岡義勇、ベルベット・クラウは眠りについており、残る5名、岩永琴子・リュージ・神隼人・ビルド・夾竹桃は己が得た情報を持ち寄り交わし合っていた。 「ええ。武偵は確かに存在している。あなたが出会った神崎・H・アリアは間違いなく私の知る彼女ね」 「そうか。となると、本当に平行世界から集められてるって話は間違いじゃなさそうだな」 「俄かには信じがたいけれど、ことここにまで至って否定する理由もないわね。まあ、日本に学園都市なんてものがある話からして薄々思っていたけれど」 真 真 真 嘘発見器を通して見た夾竹桃からは虚勢の強がりはなく、言葉の通り、あるがままを受け入れているようだ。 「あんたらは全然驚いてないんだな」 リュージは隼人とビルドへとかぶりを振る。 「そのあたりはおおむね予想はついていたからな」 隼人の言葉にビルドも頷く。 真 真 真 (どいつもこいつも肝が据わってんなあ) 『参加者たちは交わらぬ平行世界から集められている』という説は遠からず他の参加者も辿り着くというのは琴子の予想通りだった。 しかし、ここに集う三人は予想以上に辿り着くのが早く、なおかつ既に受け入れている。 自分などあれだけダーウィンズゲームという超常現象に巻き込まれておきながら、すぐには平行世界を信じることなどできなかったというのに。 「...どうする岩永」 リュージは確認の為にチラ、と琴子を見やる。 二人は、情報の交換の合間に他の三人を品定めしていた。 果たして自分たちが辿り着いた解を彼らが受け止められるかどうか、あるいはこの解を否定する材料を出せるか。 「彼らなら大丈夫でしょう」 琴子の判断は是だった。 彼らは誰もが妖怪変化の事件すら可愛く思えるほどの経歴を持ち、先の戦闘を失神するでもなく生き残り、且つ主催に負けた今でも折れることなく冷静に状況を見ている。 その彼らならば明かしたところで問題はあるまい。 コホン、と一つ咳払いを入れて琴子は口を開く。 「皆さん、私たちはこの催しの正体について一つの解を導き出しました」 「えっ!?」 驚くビルドを隼人が手で制し琴子に続きを促す。 「もちろん、今の時点ではただの推測です。あなた方から反論・及び新たな情報の開示を頂ければ棄却されるべきものだとも存じています。それでも聞いていただけますか?」 根拠はあっても強制はしないのは琴子なりの警告であった。 この解は人によっては思わぬ地雷を踏み冷静さを奪う危険物だ。 だからこそ警告を挟み、相手自身が同意したと認識していればそれが暴走への枷となるからだ。 「構わん。今はどんな情報でも欲しい。ソイツが要るかどうかは俺が決めることだ」 「右に同じね。どんな毒でもまずは効能を見なければ扱いようがないもの」 「この殺し合いを壊せるなにかがあるなら、僕はそれを知りたい」 二の句もなく同意する三人に琴子は頷き、再び裁決の木づちを振り下ろす。 「『この殺し合いの参加者77名は平行世界の本物の住人ではなく、μにより平行世界の人間の情報をインストールされた同一世界の人間である』...それが私の出した解です」 琴子の口にした解に、隼人も、ビルドも、夾竹桃も―――この解を知っているアリアとリュージまでもが驚愕に目を見開いた。 「ちょちょちょ、岩永!いいのこんなこと喋っちゃって!?」 アリアは思わず驚き慌てふためる。 μと会うまでは筆談で隠し通してきたこの解を平然と口に出したのだから驚くのも無理はない話だ。 「別に構いませんよ。喋っても首輪を爆破されないことはさっきのμとの問答でわかりましたから」 あっけらかんと言ってのける琴子に、アリアとリュージは背中が底冷えする。 二人としては自分が自分でないかもしれないという解自体に良い気持ちがせずそれしか見えていなかったというのに、琴子は既にその先まで見据えて問答に臨んでいたというのだから。 リュージは改めて琴子の『知恵の神』という肩書を思い知らされた。 彼女は感情のない合理的AI機械ではない。身体の発育に嫉妬したり、知人の死に思うところがあったりと確かに人間としての感情を有している。 それらを持ち合わせた上で、推理に関しては感情を廃し導いてしまった合理的な解にもおくびも動揺を見せず常に脳髄をフルスロットルで動かせる。 だからこその『有識者』や『探偵』ではなく『知恵の神』なのである、と。 (さて、あの三人は...) リュージが隼人たち三人を見やれば、さすがに衝撃と困惑が抜けない表情になっている。 (まあそりゃそうだわな...こんなもんそう易々と受け入れられは...) 「ねえ」 ほどなくして夾竹桃が口を開いた。 「その答えに根拠はあるのかしら?」 「μはメビウス内で既に人間の記憶の忘却や肉体改造・ヒーローの固有能力をインストールし活用できるように施したという実績があります」 「平行世界から直接拉致してきた可能性は?」 「考えましたが77人分の平行世界への干渉はリスクが高すぎます。それなら観測だけして情報を持ち帰りμにインストールさせた方が手っ取り早くリスクも低いです」 「...平行世界への代償がない干渉なら心当たりがある」 隼人が徐に口を開き割って入る。 「清明だ。奴は俺たちの世界に幾度も鬼を送り込んできた。奴がなにかしらの代償とやらを支払っていたとは思えん」 隼人の意見にリュージは安堵する。 彼とて、未だに自分が本物ではないとは思いたくはなく、こうして真っ向から否定できる情報があればそちらを信じたい。 「だが、俺としてはその線は薄いと思っている」 が、己の持ち出した考えを即座に否定する隼人の言葉にリュージの表情は固まってしまう。 「奴はゲッターロボに乗った俺たちと戦うことに固執していた。もしも奴が主催側ならば、俺たちを各個撃破させてゲッターに乗せないような真似はしない。 それにあの平行世界間を自在に移動できる術...奴が他人に教えるとは思えん。ならばこの殺し合いにいる清明もお前の言う通りの存在だと考えた方が無難だな」 「なるほどね...なら死者の蘇生というのも、本質的には『死の直前にまで至った参加者のデータを抜き取ったもの』と考えればいいのかしら」 「はい。テミスが嘘を言っていない以上、私もそれが一番近いと思っています」 「平行世界の別人よりはそっちの方がしっくりくるわね。となると、岩永の説が一番実現性があるわね」 「現状ではそうなるな。あとは連中の目的だが...」 「実験でしょうね。私たちの素材となる人間も、被検体として用意された人間なのでしょう」 「だろうな。77人程度ならば研究員だろうがそこらの人間をとっ捕まえようが大した人数じゃない」 テキパキと話し合いを進める琴子・隼人・夾竹桃にリュージとアリア、ビルドの三人は言葉を失ってしまう。 「い...いやいや、あんたら平気なのかよ?俺たちが偽物かもしれないんだぞ!?」 思わずリュージが問いかける。 琴子の考察を一番初めに聞いたリュージでさえ未だに拒否感を示しているというのに、隼人と夾竹桃はすんなり受け入れ既に話し合えるほどの冷静さを取り戻しているというのだから当然だ。 「俺が偽物だろうがなんだろうが知ったことじゃない。俺が『神隼人』である以上はやることは変わらないからな」 「同感ね。むしろ夏コミのことを考えれば、本物と私が揃えば作業ペースが速まって効率的よ」 「私はこれでもそれなりに嫌だと思ってるんですよ?本物の私が九朗先輩とあんなことやこんなことをしてるのを見せつけられでもしたら、これはもう実質的なNTRじゃないですか。ああおぞましい」 「マジかよ...」 (自分じゃそれなりに修羅場を潜り抜けてきてると思ってたんだけどな...) もう何度目になるかわからない言葉をリュージは口にする他なかった。 王(ワン)を殺すためなら自爆も厭わぬ覚悟ではあったが、そんなものでは生ぬるいと言われたような感覚を覚えた。 そんなリュージの内心をくみ取り、励ますようにアリアは肩に、ビルドは足にぽんぽんと手を置いた。 自分もこっち側だと言っているようで、ほんの少しリュージの心が軽くなったが、同じ側なのが少年と不思議妖精ではやはり肩を落としてしまうのだった。 ☆ ポオーッ、と汽笛が鳴り、先頭に『無限』と記された列車が動き始める。 乗組員は夾竹桃と、失神しているベルベット・クラウ及び麦野沈利。 同行者二人が気を失っているという不利な点から、彼女は列車での移動の権利を許された。 (ふふっ、うまくいったわね) 燃え盛る炎の森を窓から眺めながら、夾竹桃は薄ら笑いを浮かべる。 夾竹桃本人としてはあくまでも中立の立場ではあったが、ベルベットと麦野は殺し合いに肯定的な人間である。 にも関わらず殺し合いに反する四人から見逃されたのは完全にツいていた。 首輪の解析は決して簡単なことではない。 どうしても器具が必要になるし、なにより調達行為自体が他参加者との軋轢を生み出しやすい。 だが、幸いなことに夾竹桃はシュカ・錆兎・浜面仕上の首輪を有していた。このうち錆兎と浜面の首輪を渡し、この場だけは見逃してもらう契約に取り付けたのだ。 首輪を二つも失ったのは痛手ではあるが、しかし彼女としてはそれと引き換えにしても得るものが多かった。 神隼人や岩永琴子という現実主義者な協力者。 主催側の戦力及び背景。 ゲッター線に触れた者からのゲッター線の情報。 傷つき倒れているベルベットと麦野に対しての身体的優位性。 これだけのものを手に入れて自分はさほど傷ついていないのだ。 ある意味、今回に関しては主催に逆らった者たちの中では一番の勝ち組とも言えよう。 (私は全てを手に入れる...鷹捲りも、ゲッター線も、夏コミの覇権も―――このゲームの勝利も) 上品にも思えた薄ら笑いが凶悪な笑みに変わる。 灼熱の森はそんな夾竹桃の変化を示すかのように一層勢いを増すのだった。 【D-2/一日目/無限列車内/昼】 ※D-3の森林エリアに炎が広がって森が焼けていますが、エリアを跨いで火事が広がることは無いようです。 ※渋谷駅に設置された電車は無限列車@鬼滅の刃です。 【ベルベット・クラウ@テイルズオブベルセリア】 [状態]:左腕切断(再生中)、疲労(大)、全身にダメージ(大)、気絶中 [服装]:いつもの服装 [装備]: [道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3 [思考] 基本:他の参加者共を喰らって、主催共を喰らい、復讐のための力を貯める 0:気絶中 1:夾竹桃、麦野沈利と共に行動する 2:ライフィセットの名を騙る『悍ましい何か』は私の手で殺す 3:あの時戦った対魔士(オスカー)は殺す 4:牢獄で会った女(マギルゥ)に関しては保留 5:夾竹桃の提案に乗りまずは紅魔館(の図書館)に向かう [備考] ※牢獄でのオスカー戦後からの参戦です ※3人でアイテムを結成しました 【麦野沈利@とある魔術の禁書目録Ⅲ】 [状態]:全身にダメージ:特に顔面(大)、疲労(大)、怒り、気絶中 [服装]:いつもの服装(ボロボロ) [装備]: [道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3 [思考] 基本:『願いを叶える力』とやらを手に入れる 0:気絶中 1:気に食わないが、夾竹桃、ベルベットとともに行動する 2:絹旗とフレンダも見つけたら必ず殺す 3:夾竹桃の提案に乗りまずは紅魔館(の図書館)に向かう [備考] ※アニメ18話、浜面に敗北した後からの参戦です 3人でアイテムを結成しました 【夾竹桃@緋弾のアリアAA】 [状態]:疲労(小)、ゲッター線に魅入られてる(小)、夏コミ用のネタの香りを感じている。 [服装]:いつものセーラー服 [装備]:オジギソウとその操作端末@とある魔術の禁書目録Ⅲ、胡蝶しのぶの日輪刀@鬼滅の刃 [道具]:基本支給品、シュカの首輪、素養格付@とある魔術の禁書目録Ⅲ [思考] 基本:間宮あかりの秘毒・鷹捲とゲッター線という未知の毒を入手後、帰還する 0:紅魔館(の図書館)に向かう。首輪の解析は図書館到着後 1:ベルベット、麦野と共に行動 2:神崎アリア及び他の武偵は警戒 3:ゲッター線の情報を得るためにゲッターチームから情報を抜き取ることも考慮 4:夏コミ用のネタが溜まる溜まる...ウフフ [備考] ※あかりとの初遭遇後からの参戦です ※3人でアイテムを結成しました ※晴明からゲッター線に関する情報を入手しました ※隼人からゲッター線の情報を大まかに聞きました。 ※『今の自分が本物ではない』という琴子の考察を聞きました。 ※隼人・ビルド・琴子・リュージ・アリアと共に【鬼滅の刃、虚構推理、緋弾のアリア、ドラゴンクエストビルダーズ2、新ゲッターロボ、ダーウィンズゲーム、東方Project、とある魔術の禁書目録、スタンド能力、うたわれるもの、Caligula】の世界観について大まかな情報を共有しました。 ※隼人からゲッター線について聞きました。どれだけの情報が供給されたかは後続の書き手の方にお任せします。 「さて。私たちはどうしましょうか」 渋谷駅に残された五人はこれからの方針を話し合うことにした。 「これだけ人数が集まっているんだ。仲良くとどまって時間を無駄にする訳にもいかんだろう...俺は灯台に向かう」 そう案を出したのは、起きている五人の中では最も重傷である隼人だった。 「大丈夫かよアンタそんな身体で」 「この程度は怪我のうちに入らん」 「そこは入れとけよ人として」 「灯台ですか。理由を聞いても?」 隼人の体調を気遣うリュージを抑え、琴子が尋ねる。 「元々は早乙女研究所に向かう予定だったが色々と茶々が入ってな。コイツは実験も兼ねている」 隼人は地図を取り出し、四人に見えるように地面に敷く。 「この地図を信じるなら会場は海に囲まれていることになる。ならこの地図の端の先はどうなると思う?」 「禁止エリア扱いになって首輪が飛ばされるんじゃねーか?」 「ならば灯台なんて如何にも船がありそうな場所を設置する必要はないだろう。ここがメビウスとやらならば猶更な」 隼人は指をD-1に乗せ、一旦離してD-8へと移動させる。 「俺の予想ではこの会場の端を超えた時、その正反対側のD-8に移動することになる。この会場がどこぞから借りてきたものならまだしも、メビウスならば小さな地球じみた会場を作ることもワケないだろう」 「...ああ、そういうこと!うん、確かに出来る。というかそっちの方がしっくりくるよ隼人!」 「どういうこと?」 1人、分かったような口ぶりになるアリアにビルドは尋ねる。 「μの作ったメビウスはできるだけ自然に人が当たり前に過ごせる環境を作ってるんよ。例えばビルドはこのエリアの端に行ったとき、なにか壁にぶつかって進めなくなるのとずっと続いているのどっちが自然だと思う?」 「続いてる方が自然かなあ」 「でしょ?ただここが殺し合いならずっと行かれちゃっても困るし...だから会場を地球みたいに小さな球体にしちゃえばいいわけよ。さすがに一つの国とかそういう規模は無理でもこれっぽっちの広さなら球体に出来るし、逃げ道も塞げる一石二鳥ってやつなわけよ!」 「なかなか鋭いな。起爆装置以外にも使い道はありそうだ」 「でしょでしょ?伊達にバーチャドールやってるわけじゃ...起爆装置?」 首を傾げるアリアに隼人は筆談で告げる。 『またμが現れた時にお前に首輪を持たせて近づかせて爆破すれば奴も仕留められるだろう』 「あーなるほど。あたし首輪ないしμとも仲いいから近づきやすい...ってこわっ、発想めちゃこわっ!!」 『それはいい案ですね。首輪の威力も確かめられて一石二鳥です』 「岩永も筆談やめてくれない!?ガチに思えちゃうじゃん!助けてビルドー!!」 「大丈夫だよ、隼人も本気じゃないから」 泣きつくアリアをビルドが宥めつつ、琴子が話を戻す。 「まあそういう理由があるなら止めませんが...一人で向かうつもりで?」 「それでも構わん...と言いたいところだが、現状、まともに戦えるのは俺とリュージだけだ。さすがにこの面子を一人で護り切れというのは難しいだろう」 「なら面子をわけるか」 「そういうことになる。ビルド、アリア。お前たちはこっちに来い。首輪の解析にお前たちの力がなにか使えるかもしれん」 「うん、わかった」 「えー、あたしもかぁ...岩永、リュージ、あたしが離れても大丈夫?」 「問題ありませんよ。私たちにカタルシスエフェクトが使えない以上、より多くの場所や参加者に触れてもらった方が都合がいいですから」 「別に今生の別れって前提でもねえだろ?」 「そうだね...うん、わかった。あたしも一旦隼人たちについてくよ」 「決まりですね。あとは気絶している二人ですが...」 「冨岡はクオンほどは警戒心が高くない。事情を説明して殺し合いに乗っていないことを伝えれば変に拗れることはないだろう」 「なら冨岡さんはこちらで、クオンさんはそちらで預かってもらいましょう」 かくして話し合いは纏まり、隼人・ビルド・クオン・アリアは灯台から船に乗り研究所へ、琴子・リュージ・義勇は夾竹桃や隼人たちとは別の施設へ向かうこととなった。 別れの挨拶もほどほどに、渋谷駅から離れていく隼人たち一行。 (主催を殺せなかったのは痛手だが収穫が無かったわけではない) 隼人は夾竹桃から受け取った浜面の首輪を右手に持ち眺める。 夾竹桃たちが既に三名もの犠牲者を出していたことには大して思うところは無い。 ここが首輪を嵌められた殺し合いという盤面である以上、誰かしら蹴落とされる者は出てきてしまう。 隼人自身、ゲームに乗った者か足を引っ張るだけの無力な者からの調達も視野に入れていた為、手間が省けたと思うだけだ。 故に、チョコラータ達とは違い必要最低限だけ狩り、自制の効く狩人は放っておいた方が効率がいいと考え彼女たちを見逃したのだ―――尤も、自分たちに牙を剥かないという前提でだが。 (継ぎ目はない。見たところ特別な装置もない。となると、やはり中身を開いてみないとわからんか) このまま素手での解析は非常に困難である。解体器具があったとして、自分一人で解析可能な代物かもわからない。 その為のビルドとアリアだ。 ビルドのものつくりの技術とμに通じるアリアの能力。 これらを合わせれば何かしらの糸口はつかめるかもしれない、と隼人は考えたのだ。 「ビルド、こいつを持っておけ」 隼人から手渡したのは、義勇が使っていた折れた日輪刀。 このままでは使い道がなく、それならビルドに加工なりなんなりさせた方がいいだろうと判断し、はやぶさの剣と交換したのだ。 それを受け取ったビルドの面持ちは―――暗い。 いつものニコニコとした笑顔は鳴りを潜めていた。 「あいつらと一緒にいたかったか?」 「...違うよ」 「リックとかいう奴のことか」 「...うん」 主催の手先として現れたかつての仲間であるリック。 彼は元の世界では死にたくないという切実な願いで自分たちを裏切った。 今回もそうなのだろう。いや、それ以上に純粋かもしれない。 彼がμとの逢瀬を語っている時は、ハーゴンの手先にまものに変えられた時よりも嬉しそうだった。 μは正しくリックを救い、今度こそ彼は本音で彼女の為に戦えているのであるのは疑いようもない事実だ。 彼を救えなかったビルドにはそれを責めることなどできない。 「だから倒すのもしのびないということか?」 「...うん」 「...お前がどういう心境で奴と戦おうと勝手だ。だが覚えておけ。本気でぶつかり合うのは決して侮辱などではないことをな」 掛けられた声に、ビルドは俯いていた顔を思わず上げる。 隼人は振り返りもせず真っすぐに歩いていた。 ただ、慰めてくれたのかな、と思うと、自然とビルドの足も隼人の後を追う速度が速くなっていた。 【D-2/一日目/渋谷駅/昼】 【ビルド(ビルダーズ主人公、性別:男)@ドラゴンクエストビルダーズ2】 [状態]:疲労(大)、精神的疲労(大)、全身にダメージ(大) [服装]:普段着 [装備]:ビルダーハンマー@ドラゴンクエストビルダーズ2、大砲(半壊、素材を集めて修理すれば使えるかも?) [道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2、あぶないカビ 大量の鉄のブロック@ドラゴンクエストビルダーズ2、大量の爆薬@鬼滅の刃、大砲の設計図@製作、折れたサイコロステーキ先輩の日輪刀@鬼滅の刃 [思考] 基本方針: ゲームからの脱出。殺し合いをしない。 0:灯台に向かい船でD-1からD-8に向かえるか実験がてら早乙女研究所に向かい首輪を解析する。 1:灯台に船が無ければ渋谷駅まで戻ってくる。 2:シドーや隼人の仲間たちを探す。 ※幻想郷の大まかな概要を聞きました。 ※『今の自分が本物ではない』という琴子の考察を聞きました。 ※夾竹桃・隼人・琴子・リュージ・アリアと共に【鬼滅の刃、虚構推理、緋弾のアリア、ドラゴンクエストビルダーズ2、新ゲッターロボ、ダーウィンズゲーム、東方Project、とある魔術の禁書目録、スタンド能力、うたわれるもの、Caligula】の世界観について大まかな情報を共有しました。 【神隼人@新ゲッターロボ】 [状態]:疲労(大)、全身にダメージ(大) [服装]:普段着 [装備]:ミスタの拳銃@ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風、ミスタの拳銃(ビルドの作った模造品) [道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2、浜面仕上の首輪、錆兎の首輪 [思考] 基本方針: ビルドの主催討伐作戦を手伝う 0:灯台に向かい船でD-1からD-8に向かえるか実験がてら早乙女研究所に向かい首輪を解析する。 1:灯台に船が無ければ渋谷駅まで戻ってくる。 2:ビルドのものつくりの能力を利用し有利に立ち回る。現状、殺し合いに乗るつもりはない。 3:作戦実行の前に、やはり首輪のサンプルが欲しい。狙うのは晴明、殺し合いに乗った者、戦力にならない一般人(優先度は低い)。 4:竜馬と弁慶は合流できるに越したことはないが、まあ放っておいても死なんだろう。 5:チョコラータは始末しておきたい。 ※少なくとも平安時代に飛ばされた後からの参戦です ※幻想郷の大まかな概要を聞きました。 ※『今の自分が本物ではない』という琴子の考察を聞きました。 ※夾竹桃・ビルド・琴子・リュージ・アリアと共に【鬼滅の刃、虚構推理、緋弾のアリア、ドラゴンクエストビルダーズ2、新ゲッターロボ、ダーウィンズゲーム、東方Project、とある魔術の禁書目録、スタンド能力、うたわれるもの、Caligula】の世界観について大まかな情報を共有しました。 【クオン@うたわれるもの 二人の白皇】 [状態]:全身にダメージ(大)、疲労(大)、気絶中 [服装]:皇女服 [装備]: [道具]:基本支給品一色、薬用の葉っぱ@オリジナル、不明支給品0~2 [思考] 基本:殺し合いに乗るつもりはない。皆と共に脱出を。 0:気絶。 1:復讐、か……。 2:アンジュを失ったことによる、若干の喪失感 3:着替えが欲しいかな……。 4:オシュトル……やっぱり何発か殴らないと気が済まないかな 5:優勝……ハクを蘇らせることも出来るのかな……ううん、馬鹿なこと考えちゃ駄目! [備考] ※ 参戦時期は皇女としてエンナカムイに乗りこみ、ヤマトに対しての宣戦布告後オシュトルに対して激昂した直後からとなります。オシュトルの正体には気付いておりません。 【アリア@Caligula Overdose -カリギュラ オーバードーズ-】 [状態]:健康 [思考] 基本:μを止める、だけど…… 1:帰宅部の仲間との合流 [備考] ※参戦時期は少なくてもシャドウナイフ編以降。琵琶坂生存ルートです。詳しい時期はお任せします。 ※『今の自分が本物ではない』という琴子の考察を聞きました。 ※夾竹桃・隼人・ビルド・琴子・リュージと共に【鬼滅の刃、虚構推理、緋弾のアリア、ドラゴンクエストビルダーズ2、新ゲッターロボ、ダーウィンズゲーム、東方Project、とある魔術の禁書目録、スタンド能力、うたわれるもの、Caligula】の世界観について大まかな情報を共有しました。 岩永琴子の思考に踏み込みますか? はい いいえ 本当に踏み込みますか? はい いいえ 岩永琴子は考える。 この殺し合いの背景に潜む物語を。 相談を持ち掛けた相手にも、同行者にも伝えることなく。 己の脳髄の中で虚構と真実を積み重ね組み合わせて一つの型を彩っていく。 隼人や夾竹桃は『自分たちのモデルになった人間は自組織か拉致してきた人間だ』と考えていた。 確かにそれも一つの解であり琴子も考えたことだ。 しかし一方で彼女はもう一つの解を導き出していた。 誰にも知られるべきではない、真に最悪の解を。 琴子はテミスの目的を『ビジネスの一つである』と考えている。 ではその『ビジネス相手』は誰か。 悪趣味な金持ちが大金をはたいて『平行世界間の者たちの殺し合いを見たい』とでも依頼したのだろうか。 有りえない話ではない。相手の人格がどうであれ、金さえ払われればそれでビジネスは成り立つのだから。 しかしこれだけでは不可解な点がいくつかある。 ①主催陣が参加者をなぜ誰一人として殺さなかったのか。 ②そもそもなぜ主催があんな大立ち回りを演じることになったのか。 ③μが言った『すばらしいこと』とはなにか。 まずは①について考えよう。 あれだけの参加者が主催に歯向かおうとしたのだ。 護衛をつけてまでμが列車を完成させるのを成功させたかったのなら、誰か一人を見せしめとして殺した方が手っ取り早かっただろう。 現にその機会はいくらでもあった。 麦野沈利はあれだけ痛めつけられたというのに気絶で済まされており。 眼前の戦いに集中していた義勇とベルベットには刺客の一人も寄越さず。 ましてや、リックなどは最初からクオンに見せたような銃火器を使用していれば被害はあの程度では済まなかったはずだ。 にもかかわらず、参加者は誰一人として死んでおらず反逆行為も見逃されている。 このことから主催達は『あくまでも参加者同士での潰し合い』を望んでいることが見て取れる。 次に②だ。 そこまでしてμに電車を完成させたいなら、護衛に戦わせるよりもいくらでも簡単な方法がある。 例えば、渋谷駅のあるD-2の周囲すべてのマスを禁止エリアにしたり―――攻撃を開始してきた時点で誰かの首輪を爆破し見せしめにしたり。 そう、特に首輪による爆殺はかなり効果的なはずだ。こればかりはいくら腕が立ち心を強く保とうとも関係ない主催者の特権なのだから。 にもかかわらず主催は首輪の爆破を行使しなかった。 いや、もしかしたらできなかったのかもしれない。 セレモニーではテミスがリモコンを押して滝壺理后の首輪を爆破をしたが、それ自体はあくまでもキッカケの一つであり、もう一つのスイッチは『μが手持無沙汰であり、彼女が首輪を爆破させようと認識すること』だとしたら。 今回の戦いで首輪の爆破という最も効率的な方法を取らなかったのも頷ける。 μは列車を作るのに力を割いていて、首輪を爆破する力を行使できなかったということなのかもしれない。 そして③ これを引きずり出せたのはアリアのファインプレーと言えよう。 彼女の『これからなにが起こるのか』という問いかけにμは『すばらしいことだよ』と言った。 このすばらしいことが誰を指しているのかがわからない。μか、テミスか、顧客の推定金持ちたちか。 あるいは―――参加者たち自身に向けてなのか。 もしも参加者たちに向けての場合。 殺し合わせている者たちに向けて何をもって『すばらしいこと』だと認識しているのか。 望まない闘争を強制されてなにが『すばらしい』ことなのか。 ...考え方を変えれば、私たちの誰もが殺し合いを強制されていないのかもしれない。 そう。 『stork』や『リュージ』のように本名でなく慣れ親しんだ名前で記載されている名簿も。 主催に明確に逆らった七名の誰もが見逃されていることも。 そもそも、μが一大イベントのように護衛を引き連れて戦いのステージに降り立ったことも。 その全てが参加者に都合のいい事柄なのだ。 ―――もしも、もしもだが。 テミスのビジネス先の相手が何処ぞの金持ちではなく、私たち参加者のデータをインストールされた者たちだとしたら。 μの『すばらしいこと』というのが誰が見ても嘘偽りのないことだとしたら。 私たちは首輪を嵌められた奴隷ではなくテミスのビジネス先の顧客だとしたら。 配られた名簿が主催よりも参加者にとって都合がいいのも。主催が誰も殺さずに事を済ませたのも。μが一大イベントのように降り立ったのも。 文字通り顧客へのもてなし方だと捉えれば全て説明がついてしまう。 故に、岩永琴子の導く解答は一つ。 【μにより平行世界の人間の情報をインストールされた同一世界の人間は、自らこの催しを望んだ者たちである】 この説が合っていれば、人材の調達もビジネスとしての資金もよりローリスクで済む。 被検体も資金も募れば勝手に飛びついてくるのだから。 望む理由はいくらでも思いつく。 社会に絶望し疲れ切った大人たち。ヒーローに救いを求める子供たち。生きることに疲れた老人。興味本位で。 そんな者たちがふと『こんなキャラになって死にたい』『こんなキャラでこんな活躍をしたい』。『今の自分なんて全て捨てて、新しいキャラとして人生を歩みたい』と願っていたら。 この殺し合いで抗うことも従うことも全てが茶番と化してしまう。 どういう形でこの催しを終えるにせよ、もととなる被検体の願望を叶えるだけに終わってしまうのだから。 しかし、私たちにとっては最悪なことでも、元の人間にとっては『すばらしいこと』だろう。 なぜなら、殺し合いの中で死のうが、勝ち残って優勝して終わろうが、この殺し合いを破綻させてハッピーエンドを迎えようが。 元の人間たちは喜んで口をそろえて言うだろう。 ―――これが私の人生なんだ、と。 岩永琴子は虚構を使いこなし真実を構築する。 しかしそれは無暗やたらと嘘を撒き散らすという訳ではない。 必要な虚構とそうでない虚構、必要な真実と不要な真実を使い分けてこその推理である。 (そしてこれは―――不要な真実) この解を他の参加者に知らせる必要はない。 例えこれが真実だったとしても、参加者間に不穏な空気が蔓延り、最悪自暴自棄からの殺し合いに発展しかねない。 もしそうなれば殺し合いを破壊しようとしている『岩永琴子』にはなんの利益もない。 だから知恵の神はこの虚構から導き出した真実を覆い隠す。 誰にも触れられないように。触れさせないように。 そっと、そっと心の奥底に仕舞い込んだ。 【D-2/一日目/渋谷駅/昼】 【冨岡義勇@鬼滅の刃】 [状態]:疲労(大)、精神的疲労(中)、全身にダメージ(大)、気絶 [服装]:いつもの隊服 [装備]:はやぶさの剣@ドラゴンクエストビルダーズ2 [道具]:基本支給品一式、不明支給品2つ(本人確認済み) [思考] 基本:テミスとμを倒す 0:気絶 1:鬼舞辻無惨に会ったら殺す 2:仲間(妖夢、錆兎、煉獄)死亡による意気消沈 [備考] ※無限城に落とされる直前からの参戦です ※毒消し薬、消化促進薬を摂取しました。 【リュージ@ダーウィンズゲーム】 [状態]:健康 [服装]:軍服 [装備]:イケPの二丁拳銃@Caligula Overdose -カリギュラ オーバードーズ- [道具]:ポルナレフの双眼鏡@ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風、不明支給品0~1 [思考] 基本:王を殺す。そのあとは知り合いの有無で考える。 0:どこに向かうかを考える。 1:岩永琴子と行動する。とりあえず会場の目ぼしい建物を巡る。 2:王を殺す。 3:アリアの仲間、ジョルノ、カナメ、レイン、桜川九朗、メビウスの関係者を探す。 [備考] ※参戦時期は宝探しゲーム終了後です。 ※この世界をメビウスのような「フィクション」だと思っています。 ※夾竹桃・ビルド・琴子・隼人・アリアと共に【鬼滅の刃、虚構推理、緋弾のアリア、ドラゴンクエストビルダーズ2、新ゲッターロボ、ダーウィンズゲーム、東方Project、とある魔術の禁書目録、スタンド能力、うたわれるもの、Caligula】の世界観について大まかな情報を共有しました。 ※『今の自分が本物ではない』という琴子の考察を聞きました。 【岩永琴子@虚構推理】 [状態]:健康、無意識下での九郎との死別への恐れ [服装]:いつもの服、義眼と義足 [装備]:赤林海月の杖@デュラララ!! [道具]:基本支給品、文房具(消費:小)@ドラゴンクエストビルダーズ2、ランダム支給品1(岩永琴子確認済み) [思考] 基本:このゲームの解決を目指す 1:どこに向かうかを考える。 2:九郎先輩との合流は…… 3:紗季さん…… 4:首輪の解析も必要です、可能ならサンプルが欲しいですが…… 5:オスティナートの楽士から話を聞きたいですね [備考] ※参戦時期は鋼人七瀬事件解決以降です。 ※アリアから彼女が呼ばれた時点までのカリギュラ世界の話を聞きました。 ※この殺し合いに桜川六花が関与している可能性を疑っています。 ただし、現状その可能性は少ないと思っています。 ※リュージからダーウィンズゲームのことを知っている範囲で聞きました。 ※夾竹桃・ビルド・隼人・リュージ・アリアと共に【鬼滅の刃、虚構推理、緋弾のアリア、ドラゴンクエストビルダーズ2、新ゲッターロボ、ダーウィンズゲーム、東方Project、とある魔術の禁書目録、スタンド能力、うたわれるもの、Caligula】の世界観について大まかな情報を共有しました。 ※今の自分を【本物ではない可能性】、また、【被検体とされた人間は自ら望んだ者たちである】と考えています。 前話 次話 It s My Life(前編) 投下順 病院戦線 開幕 前話 キャラクター 次話 It s My Life(前編) ベルベット・クラウ 「会えてよかった」 It s My Life(前編) 麦野沈利 「会えてよかった」) It s My Life(前編) 夾竹桃 「会えてよかった」 It s My Life(前編) 岩永琴子 嘘と真 It s My Life(前編) リュージ 嘘と真 It s My Life(前編) 神隼人 カウントダウン It s My Life(前編) ビルド カウントダウン It s My Life(前編) クオン カウントダウン It s My Life(前編) 富岡義勇 嘘と真
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眼鏡と白衣と香水と 総一郎と茜シリーズ(男子高校生と女性教諭の恋) はじまりの10月 「オーケィ、浅尾。私も君が好きだ」 11月 「キス、していいですか……?」 12月 やっと訪れた、役得の日々 1月 初デート 2月 ヒミツのバレンタイン 3月 浅尾は、なぜかいい匂いがする。 4月 そういえばあの笑顔に騙されたんだった 5月 センセイのプライベート 7月 何かを掴んでいないと、どこかに連れていかれてしまいそうだった 8月 どうしようもなく自分を嫌いになった 9月 化学部一年生の長峰一葉は、確かに可愛い 二度目の10月 いつか望んだ夜明けのコーヒーを入れる日が、やっと来た 二度目の4月 寝込みを襲う 二度目の5月 おしおき 三度目の10月 やりたい盛り 三度目の9月 センセイって、もしかして 四度目の6月 教育実習 五度目の9月 満たされた孤独 六度目の10月 フィナーレ これはまたべつのはなし 「眼鏡と白衣と香水と」のスピンオフ) 要と琴子シリーズ (茜と同僚の琴子と、その幼馴染の要の話) コトコのハナシ 僕と琴子はスタンダードかつパーフェクトな幼馴染だ コトコのキス 「試して、みる?」 コトコのカタチ 僕たちの関係は、完璧だ 碧生と夜子 (本の虫な二人の、微妙な距離) あおいよる 「しないわ、ドキドキなんて全然していない」 虎鉄と飛鳥 (剣道部の後輩と先輩) 密かなさよならの仕方 「飛鳥先輩」 __
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寒いの嫌!【さむいのいや!】 『2』に登場する水無月琴子のイベントの一つ。 水無月からの評価が友好以上であれば、1年目12月1日に自動的に発生するイベント。 しかし、この時期までに友好にするには、デートはもとよりパラメータも上げていかないとかなり難しい。 詳しくは「水無月 琴子」の攻略の項を参照のこと。 このイベントの翌日が水無月の誕生日であり、せっかく頑張って発生させても、アルバムには全く同じ絵が連続で載るだけなので、難易度の割に有り難みはあまりないイベントである。 一枚絵でもあれば、もっと張り合いがあったと思うのだが。 関連項目 行事・イベント
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Q メインヒロインは誰? A:ギズモです Q エッチあり攻略可能キャラは? A:ギズモ、結衣、式子、琴子、柚 です 琴子のみ他全ENDを見ないと攻略できません Q 冬コミグッズの再販希望 A:最低ロット数の問題があり現状では難しいようです Q このゲーム意味わからないんだけど A:意味がわかるようにがんばります Q これってジャンルとしては何ゲー? A:家族ゲーです。家族を算数で考える可能性の可能性のゲームなんです Q バックログ短くない? A:環境設定→入力・その他設定→その他→テキスト履歴
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◇ 渋谷駅を発ってから間もなくして、久美子と麗奈の二人の視界に飛び込んできたのは、一本の大太刀だった。 古の伝承に綴られる聖剣の如く、地面に深々と刺さり、荘厳に佇んでいるそれは、素人の二人から見ても並大抵の業物ではないことが分かる。 しかし、二人が注目したのは、大太刀そのもののではない。 「――こ、これ、参加者の誰かの腕だよね……?」 「……多分、そうだと思うけど……」 月光に照らされる大太刀のその柄は、何者かの千切れた腕にがっちりと握られている。 筋骨隆々として、未だ並々ならぬ生命力を帯びたその腕の本来の主は、シグレ・ランゲツ――。 魔王ベルセリアとの激闘の果てに、その命を散らした特等対魔士の残滓は、今尚もその闘志を、至高の刀剣「クロガネ征嵐」に宿らせていた。 「んしょ――ってあれ?この手剥がれないや……」 久美子も麗奈も刀なんてものは、生まれてこの方触れたくこともなかったが、それでも、素人目からただの刀剣でないことを察した二人は、久美子の支給品袋に二人掛かりで納めようとした。 幸いにも、久美子には『ビルダー』としてものづくりの能力を使いこなせつつある。 仮に武器として扱えなくても、素材として見れば何か活用する術はあるかもしれないのだが、生前これを得物として奮っていた武人の剛腕は、久美子がいくら力を込めても、頑なに柄を握り続け、引き剥がされることをよしとしない。まるで、腕そのものにシグレの魂が取り憑いて、闘争の続きに臨まんとしているように。 「剥がれないなら、腕ごと入れちゃえば?」 「えっ? あ、ちょっと、麗奈!?」 柄から手を引き離そうと悪戦苦闘している久美子に業を煮やした麗奈は、彼女を押し退けると、そそくさと腕とクロガネ征嵐を、袋の中に放り込んでしまう。 「いやいやいや、知らない人の腕とか何の使い道があるの!?」 「普通にあるけど?」 目を丸くする久美子に、麗奈は淡々とした調子で向き合い、前髪をかきあげる。 「えっ? ――えっと…何に使うつもり?」 「……私のおやつ――小腹が空いたとき用に……」 「げぇ――」 とんでもない事を言ってのけた麗奈に、久美子はドン引きの声を上げそうになるも、慌てて「んんっ!!」と自身の口を両の手で塞いだ。 そんな久美子に対して、麗奈は前屈みになると、額と額がくっつきそうになるところまで顔を近づける。 そして、彼女の頬に片手で触れると、微笑みを浮かべた。 「くすっ…冗談よ。さっきも言ったでしょ? もう私の中からは、人を食べたいなんていう衝動は消えてる」 「もぉ〜…冗談にしては全然笑えないよぉ」 「ごめんごめん。でも、久美子らしい反応で何か安心した…」 「あはは、何それ。ちょっと酷くない?」 咄嗟に失言を漏らしてしまう久美子の悪癖--麗奈にとっては、何度も見慣れたはずのその反応が、今はどうしようもなく愛おしかった。 額をくっつけて、久美子の体温を直に感じ取った後、麗奈は彼女から離れた。 「それと、あの腕のことなんだけど、もしかしたら、人体の一部も、久美子のものづくりの素材になるんじゃないかと思ったの」 「えー、流石に人を材料になんて使いたくないんだけど――」 そんな会話を交わしながら、二人の少女は先を行く。 互いの手をぎゅっと握りしめて、互いの存在を感じながら。 「独り」だった二人の少女はもういない。 これから先の未来に何が待ち受けているのかは、分からない。 しかし、二人一緒ならどんな苦難にも立ち向かえる――そのように、少女達は思っていた。 互いの存在が、一歩踏み出す勇気を奮い立たせてくれるのだから。 ◇ 岩永琴子は、聡明な少女だ。 普段は可憐な見た目とは相反するほどの欲望を曝け出し、品の無い発言を口に出すこきらいがあり、九郎をはじめとした周囲の人間を困惑させることも多々ある。 しかし、その実、卓越した頭脳と知識を元に、当事者達が納得のいくロジックを綿密に組み立て、様々な事件を調停させる『知恵の神』として、妖怪変化達から畏れ敬えられている。 「……。」 しかし、そんな頭脳明晰な彼女とて、決して万能ではない。 (――友人達の脱落に続いて、慕っていた先輩の死……。 やはり、そうそう立ち直れるものではないですね……) 地面に座り込み、顔を沈めて、啜り泣くあかり。 そんな彼女の様子を見守りながら、琴子はそっと息を吐いた。 優れた頭脳を持ち合わせる琴子だからこそ、この場面では、ロジックを構築しそれを突き付けるよりも、ただ感情の赴くままに発散させてあげるのが最も合理的であると判断した。 『知恵の神』にとっては、他者の理性を手玉に取る事はいとも容易い。しかし、傷心しきった少女の心を慰める術は持ち合わせていない。 幾ら魑魅魍魎を使役し、諜報に長けていたとしても、他者の心の内は不可侵の領域――その真意は論理を以って推測するしかないのだから。 (――私の方も、今のうちに情報をまとめておきましょうか……) 琴子としても、あかりが落ち着くまで、ただひたすら見守り続けるのも非合理的だ。 支給品のタブレットを取り出しては、あかりの様子を窺いながらも、そこに文字を打ち込んでいく。 このタブレットは、琴子に支給された第三の支給品。 一般的にタブレットというものは、様々なアプリケーションを利用できて然るべきものであるが、このタブレットについては、メモ帳機能しかインストールされていない。 利便性としては低いのだが、琴子は時折この電子機器に、自身が得た情報や考察をインプットするようにしている。口頭での会話を挟む必要なく、他者に情報展開できる点で、知恵の神はこの支給品に価値を見出していた。 ザッザッザッザッ――。 (……っ!?) 草根を分ける音が、耳に届くと、琴子はタブレットに打ち込む指を止めた。 あかりにもその音が聞こえたようで、ビクリと反応。涙に装飾された顔をバッと上げる。 「……岩永さん……。この音って――」 「ええ…誰かがこちらに接近しています」 岩陰に隠れて様子を窺う、琴子とあかり。 二人の視線の先には、森の暗闇からこちらへと闊歩してくる、一つの影。 「――やけにギラついた殺気だな……。 いるのは分かっている、出てきたらどうだ?」 その影の主――侍風の装束を身に纏った隻腕の漢は、琴子達が隠れる大岩の20メートルほど先の場所で立ち止まると、剣呑な雰囲気を放ちつつ、周囲を見渡しながら、そう呼び掛けた。 「生憎と俺は今、気が立っている。 そちらから来ないのであれば、俺から行くことになる…」 剣を構え、既に臨戦態勢に入る漢。 その眼光は紅く光り、まるで獲物を前にした獣のように殺気立っていた。 「――岩永さん……」 極力声を抑えて話しかけるあかりに、コクリと頷く琴子。 一刻の猶予も許されそうもない剣客の様子に、二人はやむなしと岩陰からその姿を顕にしようとするが―― 「分かった、こちらとしては、貴方と敵対するつもりはない。 まずは、その物騒なものを下ろしてほしいんだけど――ロクロウ・ランゲツさん」 琴子達の対角線上の木陰から、別の二人の少女達が姿を現した。 二人の少女は、手を繋いでおり、黒髪のロングストレートの少女が、相方のショートボブの少女を庇うように一歩踏み出した。 特筆すべきは、少女達が身に纏う装束だろう。片やお伽話から飛び出てきたような瑠璃色を基調としたメイド服のようや衣装、片やバージンロードを歩む花嫁を想起させる純白のドレス――双方とも、この殺し合いの場に似つかわしくない異質さを醸し出していた。 「……お前、久美子か……随分と雰囲気が変わったな……」 「――どうも……」 少女の片割れが、第二回放送後に出会った非力な少女とわかるや否や、その侍風の漢――ロクロウは構えていた剣を下ろした。 おおよそ半日ぶりの再会となるが、ぎこちない挨拶の後、何とも気まずい沈黙が場を支配する。 「ロクロウさん、少しお話しできませんか? 協力してほしいことがあります」 「――っ!? ちょっと、麗奈!!」 その沈黙を打破すべく、花嫁衣装の麗奈がロクロウに話を持ちかけると、久美子が声を荒げた。 久美子としては、セルティの件もあり、ロクロウに対する心象は良くない。 呼び掛けに応じなければ、面倒事になると思って、二人揃ってロクロウの前に姿を晒しただけであって、彼に協力を仰ぐことは目算していなかった。 「久美子――。私達の目的を達成するためには、戦力が必要なの。 ロクロウさんの実力は、久美子も知っているでしょ?」 麗奈はそんな久美子の白い肩に手を置いて、彼女を宥める。 ロクロウにとっては知る由もないことだが、麗奈もまたロクロウの戦闘を直近で目撃している。 麗奈にとっては恐怖の対象でしかなかったあの月彦相手に、獰猛な笑みを張りつけ奮戦していたあの姿はまだ記憶に新しい。 「……けど、この人は――」 久美子は更に抗議の声を上げようとするも、ここでロクロウが口を挟む。 「二人で盛り上がっているところすまんが、生憎と俺には時間が残されちゃいない。 早々にケジメをつけないといけない連中がいるんでな……。 お前達が何を企んでるかは分からんが、他を当たってくれ」 「……この殺し合いで起こった出来事全てを『最初から無かった』ことにできる――と言っても?」 「――何?」 麗奈の口から飛び出た、凡そ無視できない内容に、ロクロウはピクリと片眉を動かす。 「どういう意味だ、それは?」 「それも含めて、一度お互いの知っている情報を交換しませんか。 どちらにしろ、そんなに時間は取らせません」 怪訝な表情を浮かべるロクロウに、麗奈は真っ直ぐに彼を見据えた。 妖しく光る彼女のオッドアイをジッと見返すロクロウは、しかめ面のまま表情を崩すことはない。 「――なるほど、なにやら興味深い話をされているようですね……」 「「「――っ!?」」」 頃合いを見計らって岩陰から姿を現したのは、琴子とあかり。 ロクロウと麗奈、そして久美子は、咄嗟に話を中断し、二人の方へと振り返る。 視線の的となっている琴子は、車椅子に身を委ねており、あかりがそれを押して、ゆっくりと三人の前に進んでいく。 「また、妙なのが出てきたな……」 「初対面の淑女に対して、その言い草は如何なものかと思いますよ、ロクロウ・ランゲツさん――」 「貴方、誰?」 話の腰を折られた形となった麗奈は不満そうに琴子を睨みつけるが、琴子は物怖じすることもなく、悠々と言葉を紡いでいく。 「私は岩永琴子と申します。後ろにいるのは、間宮あかりさんです」 琴子はロクロウ、久美子、麗奈の順に視線を巡らせると、ペコリと頭を下げた。 「……人形みたい……」 そんな琴子の愛らしい容姿と、丁寧にお辞儀する姿勢を見て、久美子は、率直な感想を漏らしてしまう。よもや眼前の少女が、自分よりも年上で、既に成人済みとは露知らず。 「さて早速で申し訳ないのですが、皆様のお話に、私たちも加えていただけませんでしょうか? こちらが掴んでいる情報は、惜しみなく提供いたします」 「私達は構わないけど……」 琴子からの提案に、麗奈はチラリとロクロウを一瞥する。 「――手短に頼む……」 首肯するロクロウ。 無惨の毒によって現在進行形で命を削られている現状、悠長に会話を長引かせる余裕はない。 しかし、二グループとの情報交換によって無惨やベルベットの足跡を得られる可能性あらば、決して無碍にはできない。 そして何より、先程の麗奈の口から飛び出した『この殺し合いを最初から無かったことにする』というフレーズ――こちらの真意も確かめてみたいと考えたのであった。 ◇ 「――μは、楽器で……願望機……」 情報交換が一通り終わった後、あかりは、最後に久美子達が齎してきたμに関する推測を、ボソリと反芻した。 それより前にロクロウより、アリアを殺害したのはウィキッドという少女だという情報を掴んでいたのだが、久美子達より告げられた内容は、アリア殺害犯に関する情報の咀嚼を停止させるほど衝撃的なものであった。 「そう、彼女は願望機。私達はその力を奪って、こんな殺し合いをなかったことにするの……。 だけど、これを実現するためには、協力者が必要――だから、力を貸してくれたら嬉しい。 あかりちゃんだって、佐々木さん達との日常を取り戻したいんでしょ?」 情報交換の際に、あかりの親友だった少女の顛末を語り聞かせた久美子は、その親友の名前を持ち出して、彼女に畳みかける。 「――黄前さん……わ、私は……」 あかりの車椅子を握る手に、力が籠る。 親しかった友人達に、憧れていた先輩――。 悪意渦巻くこの殺し合いで、かけがえのない人達を失い、身体だけはなく、心までも『おんぼろ』となってしまった少女が、久美子達が提唱した『この殺し合い自体をなかったことにして、全てを戻す』という計画を聞いて、心揺らいでしまうのは無理からぬことであった。 「コホン、少し宜しいでしょうか、久美子さんに麗奈さん」 そんな中、久美子達とあかりの間にいた琴子が、咳払いと共に会話に割り込んできた。 「あ…えっと、はい…。どうしました、岩永さん?」 一応年上の女性ということもあり、敬語で応対する久美子。 琴子は、そんな久美子の態度を視界に収めつつ、淡々と言葉を紡ぐ。 「お二方の叶えたい構想については、理解できました。 成程、確かに『殺し合い自体になかったこと』にできれば、死んだ皆さんも生き返り、この殺し合いで負った外傷も精神的苦痛も、麗奈さんのように望まぬ力を得たことによる苦悩も、全てなかったことにできますね――」 顎に手を当て、ふむふむと頷く琴子。 その反応を見て、久美子は、『岩永さんも賛同してくれているんだ』と胸を撫で下ろす。 一方で、麗奈はジーッと観察するかのように、琴子を眺めている。 「ですが、それが可能である裏付けはあるのでしょうか? お二人のお話では、麗奈さんの演奏は、μの歌に類する力を有していることが前提となります。 しかし私たちは麗奈さんの演奏の効果を目の当たりにしたわけでもなければ、その事象を記録したという主催者の『レポート』とやらに目を通したわけでもありません」 琴子の指摘を受けて、麗奈はロクロウに視線を向けるが、彼は肩を竦めた。 主催者側が残した『レポート』には、間違いなく麗奈の演奏をきっかけに、無惨がデジヘッド化したことを示す記述があった。 『レポート』の存在そのものについては、麗奈もロクロウも情報交換の際に、言及はしていたので、ロクロウが麗奈の供述を正とする証言をすれば、事足りる。 しかし、彼としては内容全てに目を通したわけでもなく、オシュトルより、シグレがベルベットに殺害された旨の報告と、それに該当する記載のみを見せられたのみで、麗奈に助け舟を出すことは出来ない。 「――だから、私達の考えには乗れない……。そう言いたい訳ですか?」 ビキビキビキ――。 瞬間、麗奈の隻腕に血管が浮き上がり、小刻みに蠢き始めた。 しかし、琴子は、そんな麗奈の様子を冷めた目で見つめながら、「いえ」と続ける。 「誤解なきように言っておくと、なにも反対しているわけではありません。 先程も申し上げた通り、まずは確証が欲しいのです、お二人の目論見が成り立つか否かを……。それまでは、立場を保留とさせて頂けますと幸いです」 「……分かりました……」 琴子の話に、麗奈は少しだけ間を置くと、腕を鎮めて、了承の意を示した。 確かに琴子が今話したことは、至極真っ当な言い分だ。 一方的に話を突きつけただけで、十全な計画であると示す証拠を提示できない現状、賛同するか否かは相手側に選択権がある。 まずは、麗奈達の言い分を立証できる根拠を提示し、理解を得た上で、協力を取り付ける必要があると認識したのである。 「……さてと、話は纏まったようだし、俺は行くとするわ」 琴子と麗奈の間の緊張が解けたのを確認するや否や、ロクロウは、もう此処には用はないと言わんばかりに、踵を返し、早々に立ち去ろうとする。 「待ってください、ロクロウさん」 「――まだ、何かあるのか?」 呼び止める麗奈に、ロクロウは不満げな表情を浮かべ、振り返る。 ロクロウからしてみれば、ベルベットが既に魔王へと成り代わり、シグレを殺害したという裏付けを得たのが唯一の収穫であり、第一目標である無惨や、解毒剤を持つ垣根の足跡を得ることは叶わなかった現状、此処に長居する理由など皆無であった。 「麗奈、もういいよ、この人は――」 「久美子、ちょっと黙って…。 ――ロクロウさんは、私達が話した件については、賛同いただけないんでしょうか? 上手くいけば、貴方自身の手でシグレさんを倒す機会を再び得られるかもしれないんですよ?」 久美子が間に入ろうとするも、麗奈はぴしゃりとそれを跳ね除け、ロクロウに尋ねる。 まるで、返答次第では実力行使も辞さない――と、暗に告げているような口調だった。 「さぁてな……。正直、俺にはよく分からん話だ。 仮にここで起きたことをなかったことにして、またあいつと死合いをするようお膳立てされても、興が湧くことはないな……」 麗奈の圧を冷ややかに受け流し、ロクロウはそう言ってのけた。 ロクロウの長年掲げていた宿願は、己自身でシグレに辿り着き、全力の立ち合いで打ち負かすこと。 そして、それを成就すること叶わなかった――。それで終いだ。 故に、ロクロウにとっては、琴子が問題視していた計画の実現性などはどうでも良い。 己が宿願を果たせなかったのが気に入らないので、「じゃあやり直そう」と言ってリセットするような不躾な真似は、自身の流儀に著しく反していた。 「ただ、お前らにも、お前らの事情があるんだろ? お前らがそれを目指すのであれば、俺は止めはしない――好きにすればいい……。 だが、さっきも言った通り、俺には時間が残されていない。無惨の毒をどうにかしないからな。先を急がせてもらう……」 瞬間、ゴホッと咳払いをして、よろめくロクロウ。 どうにか踏みとどまると口元から滴る血を拭ってみせる。 夜叉の業魔に残された猶予が後僅かであることは、誰が見ても明らかであった。 「つまりは、否定もしないし、賛同もしないってことですよね?」 「まぁ、端的に言えばそうだな」 「それでは、ロクロウさん、私たちと取引をしませんか?」 「――取引だと?」 ロクロウは、麗奈の申し出に眉を潜める。 どっち付かずのスタンスであれば、交渉の余地はあり――麗奈は、そう判断したのである。 「はい、今ロクロウさんを蝕んでいる月彦さん――無惨の毒を何とかしたら、私たちに力を貸していただけますか?」 「――っ!? そんな事が出来るのか?」 思いもよらぬ提案に、ロクロウは目を見開いた。 ロクロウだけではない…あかりや久美子も、驚愕に染まった表情を浮かべており、琴子はというと目を細めて、事の成り行きを見守った。 「……私は、無惨の血に適応して、鬼になりました。 なので、私の身体は、毒に対する免疫を少なからず持っているはずです。 免疫を含んでいる私の血液を素材にすれば、毒を抑えられる薬を作れると思うんです――どう、久美子?」 「……えっ?……」 一同の視線が、一斉に久美子に集まる。 唐突に話を振られた形となった久美子は、思わず言葉を詰まらせた。 しかし、すぐに自身が発現させた『ものづくり』の能力に関することであると理解すると、言葉を紡いでいく。 「……正直、薬とかは作ったことないけど……。 多分、素材さえあればどうにかできるんじゃないかな……と思う……」 目を伏せ、ボソリと久美子は告げる。 それは消極的な肯定であった。 彼女が薬のビルドに消極的なのは、自信の無さだけではなく、ロクロウを治療することに対する迷いがあるからだった。 だけど、嘘を言って、麗奈を裏切ることは出来ない。 だから、久美子は、胸の内で燻る感情を抑え付けながら、己が見解をありのままに伝えた。 「――だそうですけど、どうしますか、ロクロウさん……? 力を貸してと言いましたけど、何も私達の考えに乗ってもらってほしいということではありません。 私達と行動を共にして、お互いにとって共通の脅威が現れるのであれば、その時に共に戦ってほしいんです……」 複雑な表情を浮かべる久美子を他所に、麗奈はロクロウに答えを促す。 それに対して、ロクロウは険しい表情を浮かべ、麗奈……そして、久美子の順に視線を巡らせた。 「俺は―――」 そして、暫しの逡巡を経て、彼は己が答えを紡いだ。 ◇ 「――すまん、久美子。 まさか、お前に助けられることになるとはな……」 遺跡へと向かう道中、ロクロウは、久美子へと話しかける。 結果として、ロクロウは彼女に救われたことになったのだ。 ロクロウが麗奈の提案を受け入れた後の、麗奈と久美子の作業は迅速であった。 まず二人は、予め回収していた建材の欠片などを利用して、作業台を創成する。 これらの建材は、先の魔王ベルセリアによる戦闘によって、付近に散らばっていたもので、使えそうなのをピックアップしたものであった。 ここで麗奈は、前回と同じ要領でカタルシスエフェクトを発現――そこから手際良く、心のカケラを回収する。 後はそれを基に、作業台の上で、久美子の支給品である『点滴セット』に、麗奈の血液を混ぜ合わせ、調整(ビルド)――。一般的に抗毒血清を創る際は、抗体を含む血液を純化及び濃縮を繰り返すことで完成へと至る訳だが、精霊ルビスが齎した『ものづくり』の力は、この過程を大幅に短縮し、短時間での完成に漕ぎつけた。 無惨の毒は強力すぎるが故、完全な解毒には至らなかったが、それでも生成された抗毒剤の効果は明白で、ロクロウは苦痛を感じなくなり、顔色は生気を取り戻し、乱れていた呼吸は鎮まることとなった。 「あなたのために、やったのではありません。 あくまでも、私達のために、あなたを生かしただけですから……」 「……だとしても、お前が俺の恩人であることには変わらない。 この借りは、必ず返す……」 「……。」 ロクロウからの謝意の言葉に、久美子はぷいと顔を背ける。 「言っときますけど、私は今でも、あなたのことが許せないですから」 「……そうか……」 以降は、沈黙――。 何とも気まずい空気だけを残して、両者はただ同じ場所を目指して歩を進めていく。 (――まずは一人……。戦力は確保できた……) そんな久美子とロクロウのやり取りを眺めながら、麗奈は心中で、そのように独りごちる。 ロクロウは自分たちの計画に完全に賛同しているわけではない。 しかし、今回の抗毒剤の一件で、彼が久美子に恩義を感じているのは事実であり、その感情を枷として利用はできるはず――。 彼が付け狙う無惨や魔王ベルセリアに関しては、此方としても大きな脅威になりうるので、共通の敵の排除という点を鑑みても、「共闘」という形で、こちらの戦力として見込んで差し支えないだろう。 (……問題は――) チラリと後ろを振り返ると、琴子と彼女が腰掛ける車椅子を押すあかりの姿が目に入る。 (あの二人か……) 麗奈たちの計画に対する彼女たちの姿勢は、形式上は「保留」となっている。 まずは、麗奈たちが語った話の信憑性を確かめるという意味でも、麗奈の能力発現について言及のある『レポート』を確認したいとのことだ。もしくは、他に『レポート』の内容を把握している人間と接触して、証言を得るのも良いとのこと。 麗奈自身もヴァイオレットと再会したい手前、こうして遺跡に赴くのは好都合ではあるが、仮に彼女達が確証を得たとしても、本当に協力してくれるかは些か疑問が残る。 この殺し合いで、友人を立て続けに失ったというあかりは、『殺し合いをなかったことにする計画』に惹かれていたようにも見えた。 自分達と同じ年頃の女の子で、自分達と同じように身近な人達を失ったのだ。 その気持ちは手に取るように分かる。 しかし、もう一人の少女――岩永琴子については、底が知れない……。 あかりのように動じる様子もなく、麗奈からの圧を掛けた問答に対しても、あくまでも冷静に理詰めをして、話の主導権を握られてしまった。 すんなり味方になってくれるということであれば問題ないが、どうにも腹に一物あるように思えて仕方がない。 最悪、彼女が自分達を否定してくることも想定しなければならない。 そして、もしもそのような事態に陥った場合は―――。 (申し訳ないけど、殺すしかないか……) ビキビキビキ――。 無意識のうちに片腕に力が入り、青白い筋が浮かび上がる。 麗奈は、既に自身の手を血に染め上げている。トランペットを吹くために、技術と情熱を宿してきたその手を……。 しかし、それは鬼化による食人衝動に因るものであったり、自己の存在を守る為の防衛本能から来るものであったりと、明確な害意を以って他者を殺めようとしたことはなかった。 しかし、今の彼女は、その一線を越えることに一切の躊躇いはない。 それを為した時、麗奈は真の意味で人間を辞めることになるだろう。 人間に戻るために、人間を辞めるという矛盾――。 そんな矛盾の道を前にしても、麗奈の覚悟に揺るぎはなかった。 今の麗奈には、彼女を受け入れ支えてくれる親友が傍にいてくれるのだから。 (――志乃ちゃん……、高千穂さん……、アリア先輩……) 覚悟を決めている麗奈とは対照的に、その後方で車椅子を押すあかりは、葛藤の最中にあった。 悲しみ癒えぬうちに、提示された一つの可能性――。 もしも、久美子が言うように、殺し合いをなかったことにして、皆を取り戻すことができるのであれば……と、その可能性に縋りたいと思う反面、どこか違和感―――引っかかるものを覚えてしまう。 仮に全てを無かったことにできたとしても、それでハッピーエンドとならないような気がしてならない。 何よりも、アリアに、志乃に、高千穂と――。 この殺し合いで出会ったアンジュ、ミカヅチ、カタリナ――。 それぞれの信念を貫いて散っていった者達の意思を否定するようにも思えてしまうのだ。 (……ねぇ、皆――。私どうすれば良いかな……) 身も心もおんぼろとなった少女は、傷心と苦悩に苛まれながら、手に持つグリップを強く握り、ただひたすらに車椅子を進ませる。 その脳裏に、亡くなった皆の姿を思い浮かべながら……。 (……状況は芳しくありませんね……) そんなあかりが押す車椅子に身を預けている琴子は、あかりの動揺を傍らから感じ取りつつ、思案に暮れていた。 知恵の神は思考する-――久美子達が提示した計画を如何にして切り崩していくべきかを。 琴子は、この殺し合いにおいて、「出来得る限り、敵を作らない」という方針の元、行動をしてきた。 明らかに危険思考を孕んでいた夾竹桃達との取引を応じたように――。 殺し合いに乗った側のメアリ・ハントと停戦協定を結んだように――。 『ブローノ・ブチャラティ』を騙る青年を警戒しつつも、内包していたように――。 あの場では事を荒げないよう、久美子達の計画にも同調の姿勢を垣間見せつつも、最終的には立場保留という形に落ち着けた。 しかし、秩序を守る存在として、彼女らが提唱する計画を認めるつもりはない。 そもそも、μに久美子達が主張するような、全てを都合よくリセットできる力を保有しているのかについても懐疑的である。 かつてアリアから聞かされた話を鑑みるに、μの願望機たる絶大的な力は、メビウスの中でのみ影響を及ぼす。 現実への干渉については、せいぜいその魂を仮想世界に引き込む程度であり、虚構の鳥籠の中で死滅した『現実』の魂を蘇らせることは出来ない。 精々、『現実』の魂に似せたものを創造するのが関の山である。 仮に、以前に琴子が提唱したように、この殺し合いのフィールドに立つ自分達の存在が、そもそも女神によって創造されたものということであれば、復元は可能かもしれない。 しかし、そんな歪な方法での願望の成就は、果たして久美子達が望んだものとなるのだろうか。 故に、琴子は彼女たちの考えを真正面から否定するつもりでいる。 しかし、今はその時ではない。 現状はロクロウを取り込んでいる久美子達の勢力は3名で、あかりもまた、動揺している状況だ。 ここで対立しても旗色が悪い。 であれば、遺跡にいるであろう参加者集団などと合流し、オーディエンスを増やした上で、頃合いを見て、皆が納得するように否定するのが良いだろう。 その場合、逆上した麗奈達が襲い掛かってくる可能性もある。 彼女たちの思考に則れば、「どうせ後で蘇生させるから」という免罪符を掲げて、邪魔する他者の排除も厭わない、と十分に考えられる。 (だとしても、やり切るしかありませんね) 琴子とて、出来るうる限り、争いごとは増やしたくはないが、それでも彼女たちの計画を認めるわけにはいかないのだ。 間もなくやって来るであろう、次の死線――。 それに一抹の不安を覚えながら、琴子はまたしても、この会場のどこかにいるであろう九郎に会いたいと思うのであった。 【E-4/夜中/一日目】 【黄前久美子@響け!ユーフォニアム】 [状態]:全身に火傷(冷却治療済み)、右耳裂傷(小)、右肩に吸血痕、確固たる想い [役職]:ビルダー [服装]:特製衣装・響鳴の巫女(共同制作) [装備]:契りの指輪(共同制作) [道具]:基本支給品、ランダム支給品0~1、デモンズバッシュ@テイルズオブベルセリア、セルティ・ストゥルルソンの遺体、シグレ・ランゲツの片腕、クロガネ征嵐@テイルズオブベルセリア、点滴セット複数@現実 [思考] 基本:歌姫(μ)に勝って、その力を利用して殺し合いの全てを無かったことにする。……そうすれば、麗奈は人間に戻れるから。 0 一旦は、皆と一緒に遺跡に向かう 1:もう、麗奈の事は裏切らない、――絶対に。 2:麗奈の為なら、この命だって捧げても良い。ただ今はまだ死ねない、麗奈を悲しませるから。 3 ロクロウさんは好きじゃないけど、利用はするつもり。 4:例え隼人さん達を敵に回したって、もう私は迷わない。望みを叶えるまで逃げ切ってやる。 5:岩永さんとあかりちゃんも、仲間になってほしい 6:魔王ベルセリアという存在には最大限の警戒 ※少なくとも自分がユーフォニアムを好きだと自覚した後からの参戦 ※ロクロウと情報交換を行いました ※ビルドの『ものづくり』の力が継承されました。現状は麗奈と一緒に衣装やら簡単なアイテムを作れる程度に収まっています。 ※麗奈がビエンフーから読み取った記憶を共有し、ビエンフー視点からのロワの記録を入手しました。 ※μの事を「楽器」で「願望器」だと独自の予想しました 【高坂麗奈@響け!ユーフォニアム】 [状態]:鬼化(無惨の呪い無し)、新月の花嫁、確固たる思い、左腕の肘から先が消失 [服装]:特製衣装・新月の花嫁(共同制作) [装備]: [道具]:高坂麗奈のトランペット@響け!ユーフォニアム、危険人物名簿@オリジナル [思考] 基本:久美子の願いを手伝う。……人間に戻れたら、私は滝先生にもう一度―― 0 一旦は、皆と一緒に遺跡に向かう 1:最後まで、久美子と一緒に。 2:なるべく久美子には無茶はしてほしくはない。 3:ヴァイオレットさんと話をしたい。……出来れば、仲間になって欲しいかな。 4:岩永さん……敵に回るのであれば容赦はしないから 5:無茶にもほどがあるけど、音楽勝負なら負けてやらないから。 6:水口さんや月彦さんとはいずれ決着を付けないといけない。 7:まずは、力の使い方に慣れたい。 8:魔王ベルセリアという存在には最大限の警戒 ※『ビルダー』黄前久美子の血肉を喰らい、精霊ルビスの情報を取得した結果、無惨の呪いから解放されました。 これ以上無惨の影響を受けることは有りませんが、無惨の血による鬼化自体は治っておりません。 ※首輪の分解・解析により首輪の中身を知りました。 ※首輪の説明文を読み、「自分たちが作られた存在」という可能性を認識しました。 ※『覚醒者』について纏められたレポートを読み、覚醒者『006』が麗奈、『007』が無惨であることを認識しました。 ※ 精神の安定に伴い、カタルシスエフェクトの発動が可能となりました。形状は後続の書き手にお任せします。 ※己の『奏者』としての特別(ちから)を自覚しました。それがどう作用するか後続の書き手におまかせします。 ※ビエンフーから記憶情報を読み取り、ビエンフー視点からのロワの記録を入手しました。 ※鬼化した身体の扱い方にある程度慣れました。現状では鬼舞辻無惨の『管』等や、対象によって可能不可能の差異はありますか血を介しての情報の読み取り等が可能です ※久美子の血を飲むことで一時的に『夜の女王』形態になります。この場合左腕が一時的に再生し、通常時を遥かに超える出力が可能です。 【ロクロウ・ランゲツ@テイルズオブベルセリア】 [状態]:全身に裂傷及び刺傷(止血及び回復済み)、疲労(極大)、全身ダメージ(極大)、反省、感傷、無惨の血混入、右腕欠損、言いようのない喪失感 [服装]:いつもの服装 [装備]: オボロの双剣@うたわれるもの 二人の白皇、ロクロウの號嵐(影打ち)@テイルズ オブ ベルセリア [道具]:基本支給品一色、不明支給品0~2 [思考] 基本:主催者の打倒 0: 一旦は、皆と一緒に遺跡に向かう 1: 久美子達の計画に賛同するつもりはないが、久美子には借りがあるので、暫くは共闘するつもり 2: 無惨を探しだして斬る。 3: シグレを殺したという魔王ベルセリア(ベルベット)は斬る。 4: 號嵐を譲ってくれた早苗には、必ず恩を返すつもりだが…… 5: 殺し合いに乗るつもりはない。強い参加者と出会えば斬り合いたいが… 6: マギルゥ、まぁ、会えば仇くらい討ってはやるさ。 7: アヴ・カムゥに搭乗していた者(新羅)については……。 [備考] ※ 参戦時期は少なくともキララウス火山での決戦前からとなります。 ※ 早苗からロクロウの號嵐(影打ち)を譲り受けました。 ※ オシュトルからうたわれ世界の成り立ちについて、聞かされました。 ※ 垣根によってマギルゥの死を知りました。 ※ 無惨との戦闘での負傷により、無惨の血が体内に混入されました。解毒を行わない限り、数時間以内に絶命します。 ※ 更新されたレポートの内容により、ベルベットがシグレを殺害したことを知りました。 ※ 久美子が作った抗毒剤によって、毒は緩和されており、延命に成功しました。 ※ 殺し合いの全てを無かったことにしようとする久美子達の計画を知りました。 【間宮あかり@緋弾のアリアAA】 [状態]:覚醒、白髪化、痛覚が鈍くなっている、体温低下、情報の乖離撹拌(進行度31%)、全身のダメージ(大)、精神疲労(中)、疲労(絶大)、左中指負傷(縦に切断、包帯が巻かれている)、深すぎる悲しみ、久美子たちの計画に対する迷い [服装]:いつもの武偵校制服(破損・中) [装備]:スターム・ルガー・スーパーレッドホーク@緋弾のアリアAA [道具]:基本支給品一色、不明支給品2つ [思考] 基本:テミスは許してはおけない。 0:一旦は、皆と一緒に遺跡に向かう 1:黄前さん達の計画については……。 2:ヴライ、琵琶坂、魔王ベルセリア、夾竹桃を警戒。もう誰も死んでほしくない 3:『オスティナートの楽士』を警戒。 4:もし会えたらカナメさんに、シュカさんの言葉を伝えないと 5:メアリさんと敵対することになったら……。 [備考] ※アニメ第10話、ののかが倒れた直後からの参戦です ※覚醒したことによりシアリーズを大本とする炎の聖隷力及び「風を操る程度の能力」及びシュカの異能『荊棘の女王(クイーンオブソーン)』、そして土属性の魔術を習得しました。 ※情報の乖離撹拌が始まっており。このまま行けば彼女は確実に命を落とします。 ※ 殺し合いの全てを無かったことにしようとする久美子達の計画を知りました。 【岩永琴子@虚構推理】 [状態]:健康、新たなる決意、無意識下での九郎との死別への恐れ、義足損壊、車椅子搭乗中 [服装]:いつもの服、義眼 [装備]:赤林海月の杖@デュラララ!! [道具]:基本支給品、文房具(消費:小)@ドラゴンクエストビルダーズ2、ポルナレフの車椅子(ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風)、電子タブレット@現実 [思考] 基本:このゲームの解決を目指す。 0:一旦は、皆と一緒に遺跡に向かう 1:麗奈と久美子を警戒。彼女たちの計画を認めるわけにはいかない。 2:『ブチャラティ』を騙る青年(ドッピオ)を警戒。 3:魔王と琵琶坂永至、あの二人をどうにかする方法は…… 4:あかりさん、貴方は…… 5:九郎先輩との合流は…… 6:紗季さん…… 7:首輪の解析も必要です、可能ならサンプルが欲しいですが…… 8:オスティナートの楽士から話を聞きたいですね [備考] ※参戦時期は鋼人七瀬事件解決以降です。 ※アリアから彼女が呼ばれた時点までのカリギュラ世界の話を聞きました。 ※この殺し合いに桜川六花が関与している可能性を疑っています。 ただし、現状その可能性は少ないと思っています。 ※リュージからダーウィンズゲームのことを知っている範囲で聞きました。 ※夾竹桃・ビルド・隼人・リュージ・アリアと共に【鬼滅の刃、虚構推理、緋弾のアリア、ドラゴンクエストビルダーズ2、新ゲッターロボ、ダーウィンズゲーム、東方Project、とある魔術の禁書目録、スタンド能力、うたわれるもの、Caligula】の世界観について大まかな情報を共有しました。 ※今の自分を【本物ではない可能性】、また、【被検体とされた人間は自ら望んだ者たちである】と考えています。 ※カタリナとあかりのこれまでの経緯を聞きました。 ※琴子、あかり、ドッピオ、メアリ、竜馬の五人でこれまでの経緯と、生存者についての情報を交換しました。 ※ 殺し合いの全てを無かったことにしようとする久美子達の計画を知りました。 ※電子タブレットにはこれまでの彼女の経緯、このゲームに関する考察が記されています。 前話 次話 追跡セヨ -夜宵のNext Order- 投下順 暴走特急 前話 キャラクター 次話 よるのないくに ~さよならビエンフー~ 高坂麗奈 戦々凶々(前編) よるのないくに ~さよならビエンフー~ 黄前久美子 戦々凶々(前編) Dread Answer 岩永琴子 戦々凶々(前編) Dread Answer 間宮あかり 戦々凶々(前編) 一虚一実 ロクロウ・ランゲツ 戦々凶々(前編)